副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

体力とメンタル

0 最近の記事にコメントをいただきました。

 

fukukenjihouritukouza.hatenablog.com

  要するに「そんな人は困る!」ということですが、言葉を尽くし、色んな面から困ることを述べておられました。まーそうでしょうね。こういう動機で副検事を目指す人のであれば、かなりの逆風を覚悟する必要がありそうです。

1 今回は、また別のコメントを参考にした記事です。

  他省庁の方とのことですが、コメントに「体力とメンタルへの不安」を書き込んでおられました。元副検事の方のお話などを聞かれ、「知り合いの検察官がみんなスーパーマンに見えた」とのこと。どれだけハードな話を聞かれたのでしょうか。かなり昔は検察官の職務は「超激務」だったようですが、最近はごく一部の例外を除いては、まあ「普通の激務」くらいではないでしょうか。なので、かなり昔の話を聞かれたのであれば、それはさすがに現状とは乖離があると思って良さそうです。

2 では、検察官にはどのくらいの体力が必要でしょうか。まずは「普通に健康であること」が望ましいようです。別に特殊なことをする必要はありません。ちゃんとご飯を食べて、しっかり寝て、少しは運動して、お酒を飲み過ぎない。タバコを吸う人もいますが、やはり少数派だそうです。特に、ちゃんと寝ることは大事です。眠いだけで能率は確実に下がります。もちろん、持病がある方は、仕方がありません。病気や怪我は、自分で回避するのが難しいものです。ただ、お酒を飲み過ぎて悪化させるとか、自分で制御できる部分は気をつけましょう。その程度のことです。

  普通に健康であれば、普通に検察官の仕事がこなせるでしょう。そして、健康度が上がれば上がるほど、任される仕事の質と量も上がっていくでしょう。不思議なもので、仕事というのは、なぜか体力の限界ギリギリのところまでやってくるのです。そういう意味では、「仕事を楽にできるように体力をつけよう」と考えても、体力の増加に合わせて仕事の強度も上がるので、楽にできる時は永遠に来ない、という面もあります。それが、検察官の仕事が「普通の激務」である一つの理由かもしれません。

3 こんな風に、体力の限界ギリギリの仕事をする中で、どうやってメンタルを保ったら良いでしょうか。一つの鍵は、「うまく考え方のバランスをとる」ことではないか、と思います。検察官が仕事をする際は、メンタルという天秤の片側には、「熱意」「モチベーション」「重圧」が乗っています。事案の真相を何とかして解明し、あるべき刑事処分を行うために、「自分がなんとかしなければ」という使命感や、ある時は上司などからのプレッシャーなど、色んなメンタル的負荷がかかってきます。困難な事件であればあるほど、メンタルの負荷も大きいです。被害者等からの期待も、メンタルへのプレッシャーの一つです。

  自分のメンタルが持つなら、この負荷を全て受け止めてもいいのです。ただ、メンタルが持つか不安を感じる時には、メンタルのもう片側に別のものを載せて、バランスをとる、というやり方があります。自分に逃げ道を用意してやる、とも言えます。それは、「自分は何も悪いことをしていない」という事実です。検察官は刑事事件の捜査に関与し、責任も重い立場ではありますが、検察官自身は、その刑事事件の中で何か悪事を働いた訳ではありません。捜査に関与することになったのも、いわば偶然です。自分にできることは、力を尽くしてやるべきですし、やらなければなりません。ただ、どうしても自分にはできないこともあります。それをやれと言われても、無理なものは無理なこともあります。そういう時に、「自分は何も悪いことをしていない。自分ができることは力を尽くしてやっている。それでも足りないというなら、そもそも自分にやらせるべきではない。」とある意味開き直れることは、メンタルを保つ上で大切なことではないか、と思います。もちろん、最初から逃げ腰で頑張りもせずに開き直るのはダメです。ただ、力を尽くしてもなお及ばない時に、メンタルダウンしてしまうくらいなら、開き直った方が全然マシです。そして、限界ギリギリまでメンタルが追い込まれる前に、自分でメンタルのバランスを上手く保てるようになることが、検察官としてやっていく上で必要なのではないか、ということです。

4 まあ、これも色んな意見のあることでしょう。「自分の逃げ道を絶ってとことんまで自分を追い込むことで、自分の殻が破れるんだ」みたいな意見もあるかもしれません。あくまで一つの参考意見です、はい。