副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

警察関係の副検事志望(コメントへの回答)

0 令和6年度の副検事試験日程が公開されましたね。

  筆記試験が7月1日(月)、口述試験が10月7日(月)及び8日(火)とのこと。

  法務省公式サイトの中の検察官特別任用分科会議事録の内容ですから、間違いはないでしょう。

1 コメントでご質問をいただきました。警察関係の方で、副検事選考を考えておられるそうです。周りには、同じようなことを考えている人がいないとのこと。そこで

     ①  警察関係の読者はいますか?

     ②  求められる論文レベルはどのくらいでしょうか?

       市販の参考答案AかBレベルでないと難しいのでしょうか?

というご質問でした。

2 読者の方で、他に警察関係の方がおられるかは、すみませんが分かりません。少なくとも、私は存じ上げません。というのは、コメントを下さる方は、結構現在の所属を教えてくださる方も多いのですが、そうではない方もおられます。また、私としてはコメントは楽しみにしているのですが、ブログを読んでは下さっても、コメントとなるとちょっとハードルが高いようです。

  なお、令和5年度の副検事選考受験案内には、平成30年度から令和4年度までの警察区分の受験者は、5、5、8、4、4名とのことです。令和4年の全国の警察官が26万人ですから、割合としてはかなり少ないですね。まあ、そもそも受験資格が警部以上とかなり厳しいので、やむを得ないところもありますが。

  ついでですが、副検事選考受験案内その他の資料については、「弁護士山中理司のブログ」中に「副検事の選考に関する文書」という項目があり、そこに色んな資料が掲載されています。どこから入手しているのか、大変不思議ではあるのですが。

3 求められる論文レベルについては、なかなか分からないですよね。司法試験の場合は、需要も多いので予備校がいくつもあり、答案練習会みたいな有料講座もいくつもありますが。副検事選考は、受験者が120人から150人くらいと限られているので、予備校とかないですから。しかも、副検事選考試験と司法試験、予備試験は、出題形式が結構異なるため、代用として使うのもちょっとやりづらい、というのがあります。

  ただ、市販の参考答案を見る際には、気をつけた方が良い部分があります。こういう参考答案は、「学問的な正しさ」に重点が置かれがちで、「実際に本番で書く答案」とは結構かけ離れたものが多い、ということです。昔、司法試験予備校で、参考答案が作られる過程を見たことがありました。やはり、お金を払ってもらって売るものなので、学問的に間違いがあってはならない、という意識の下で作成されます。そのため、試験時間を度外視して、文献を調べるなどした上で、購入者から「間違っている」等の指摘を受けないよう、丁寧な論述による参考答案が作成されます。これを読んで「こういう答案を書けるようになろう」と目標を立てて勉強しようとすると、行き着く先は「学問的に正しい論述を覚える」ということになりがちです。これでも合格にたどり着くとは思います。ただ、そこまでしなくても合格レベルには達すると思われ、勉強法としてはちょっと遠回りかなと思います。実際の試験では、もっと砕けた表現ぶりでも合格レベルに達するのではないか、と思っています。

  じゃあ、どうやって論文のレベルを知るのか、ですが、知り合いの検察官に頼んで見てもらう、というのが現実的な対応でしょうか。弁護士や裁判官でも良いのですが。それから、地方検察庁によっては、内部で検察事務官を対象として論文答案の添削等をしているところもあります。知り合いの検察庁関係者に「誰か答案とか見てくれる人いないかな?」とか聞いてみると、もしかしたら論文添削に混ぜてくれることもあるかもしれません。

  なお、法務省が主催している研修について、過去記事があります。

 

fukukenjihouritukouza.hatenablog.com

  この研修は、かなり勉強が進んで、翌年かその次の年くらいに合格を狙うくらいの人が受けるものです。

  他官庁の方が受講するのは、様々なハードルはあると思います。ただ、警察関係の方が受講された例を聞いたことがあるので、不可能ではないと思います。当然所属先に転職希望が発覚するので、背水の陣も敷かれ、合格するしかない状況に自分を追い込むことになるでしょう。うーん、やはりハードル高いですね。