1 副検事試験の筆記試験結果について、検察官特別任用分科会で報告がされました。法務省のホームページに載っているので、間違いないです。
これによると、令和8年度の副検事試験(筆記)は、受験者130人中、合格者38人だったそうです。割合にして30%弱。どうなんでしょうね。結構高いとも言えるような。でも、みなさん真剣に勉強して受験されている中での数字としては、やはり厳しめの数字というべきなのか。ちょっとつらつらと記事を書きながら考えてみます。
2 今のロースクール制度下の司法試験の場合は、令和7年の数字ですが、全体の合格率が41%余、予備試験合格者を除いたロースクール生が34%余です。受験者の母体が、2年ないし3年ロースクールに通っているという点で、かなり真剣に勉強しているはず、という点からすると、やはり厳しめの数字に見えます。ただ、ロースクール制度は、「基本的に通ったら法曹資格が取得できる」というのを理想として設計されました。司法試験も、ふるい落とすような試験ではないはずです。かつて別の記事に書いたことがありましたが、司法試験の論文試験は、合格最低点が平均点よりも下です。つまり平均点取れなくても合格できる、ということ。
こうしてみると、副検事試験についても、30%の合格率というのは、決してふるい落とすような試験ではなく、「基本的な法律的思考力と知識を備えているか」を確認するという位置付けと考えて良いと思います。
逆にふるい落とす試験というのは、旧の司法試験のようなものです。確か、だいたい合格率が2〜3%、時代によっては、2%を切る年もあったという記憶です。こういう試験だと、正直なところ「ほかの人と同じような勉強をしていたら、とても合格はおぼつかない」みたいな状態になります。本当に、10年間受験を続ける人とかもいたり。ちょっと制度としておかしいだろう、ということで、ロースクール構想が導入されました。色々な事情から、当初の構想にあったような「合格率70〜80%」という形にはなりませんでしたが。
3 ただ、一方で、司法試験の結果からは以下のことも言えると思います。数年前に、ロースクール卒業見込みの在学生も受験可能になりました。その結果、在学生と修了者(卒業済の者)の合格率が別々に発表されています。ロースクールの在学生の合格率は52%余、修了者は21%余です。統計学のことは詳しくありませんが、どう見ても数字に明確な開きがあります。しかも、在学生合格者のうち約90%は「既習コース」という2年で卒業のコース選択者です。つまり、彼らはロースクールに入ってから1年半くらいで合格していく訳です。
ここから言えるのは「ちゃんと勉強した者はちゃんと早く合格する」という、身も蓋もない事実かな、と思います。特に、京都大学などは、在学生の合格率が77%を超えています。そういう意味では、当初のロースクール構想で描いていた状態に近づきつつあるようにも思います。確かに、今の司法試験の場合、1回目の受験で合格できなかった場合には、「ちゃんと勉強していなかったのではないか」と疑われる雰囲気はあるようです。
副検事試験の場合は、基本的に全員フルタイムの仕事をしながら、空き時間を使って勉強することになるので、学生として勉強時間を確保できる司法試験とは、かなり条件面での違いはあります。ただ、それでも、在学生と修了者の合格率が2倍以上違うという事実、ロースクールに入って1年半で司法試験に合格していく事実は、「集中して勉強する」ことの重要性を雄弁に物語っているように思います。
しかし、フルタイムで働く中では、勉強時間確保について色々な困難もあると思います。例えば、基本的な法律知識(制度の理解等)については、日々の隙間時間を使って教科書や資料を淡々と読むことで頭に入れ、過去問演習などを始めるタイミングで一気に勉強時間を確保する、など、それぞれの置かれた環境を踏まえて工夫をしていく必要があるのだろうな、などと感じました。
4 なお、令和8年の特任検事試験では、久しぶりに筆記の合格者が出たようです。受験者13人中、1人が合格されたそうで。遡ると、最後の特任検事試験筆記合格者が出たのは令和4年のことでした。その前は令和2年、さらにその前は平成28年と、極めて高いハードルです。これこそ「振り落とす試験」ですね。さすが、日本で一番難しい試験だと思います。