副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

検察事務官の一斉考試

1 2月下旬に、検察事務官の一斉考試があったようです。

  他省庁の方のために簡単に説明すると、検察庁法によって、検察事務官について年に1回試験を実施することになっており、マルバツのテストが実施されます。憲法民法、刑法、刑事訴訟法、検務事務の5科目で、1科目25問100点満点だったはずです。一斉考試の過去問や解説を掲載しているブログを見たこともあるので、興味のある方は探してみてください。

2 どうして一斉考試の話題に触れたかというとですね。急に「一斉考試」に関する記事へのアクセスが増えたんですよ。一斉考試の応試を目の前にして、検索サイトに「検察事務官 一斉考試」とか入力して検索した若手検察事務官がたくさんいたんだろうな、などと想像しました。多分その通りなんだろうな、と思います。ただ、このブログでは、一斉考試自体を取り上げて記事にしたことは、なかったと思うんですよね。多分ですが。なので、せっかく期待してブログを見にきてくれた方をがっかりさせたのではないかと思いまして。もう一斉考試は終わってしまったけれども、良い機会かと思い、記事にしてみることにしました。

3 勉強法は、先輩から聞いたりしているでしょうから、軽く触れるくらいにしましょう。よく言われるのは、各種研修で使用する、各科目の「研修教材」を読むことでしょう。ただ、この「研修教材」は、要領よくまとめられているものの、それでも通読するのは結構大変です。また、一斉考試に限っては、法律の全体像が頭に入っていなくても、出題されている分野の限定的な知識があれば解ける問題が多いです。なので、特に一斉考試で出題される分野に勉強の対象を絞ることが、点数を稼ぐ上では効率的です。そして、どうやって絞るかというと、1つは「過去問で良く出題される分野」、そして「『研修』誌掲載の若手検察事務官向け法律講座で取り上げられている分野」が手がかりです。特に、後者の研修誌は、かなり有力です。時間がなければ、これだけを直近のものから遡って読んでいく、というのが即効性が高いように思います。

4 また、こういう記事には、チートなやり方を求める方も多いと思います。都市伝説としては、「マルよりバツの方が正解のことが多い」というのがありますが、まあどうでしょうかね。基本的に、チートな方法というのは、試験には存在しません。なぜなら、それが広まった時点では、試験を作る側も、チートな方法が通用しないように試験を作り変えてしまうからです。

  なので、ここで書くチートな方法も、広まると作問側に対応される可能性が高いことは承知しておいてください。

  かつて、ある人が編み出した刑法に関するチート技に「犯罪が成立するように、刑事責任が重くなるようにマルバツをつける」というのがありました。つまり、犯罪の成否が問題になるなら成立するように、2つの罪名のどちらが成立するかならより重い罪となるように、マルバツをつけるのです。5年分くらいの過去問で、このやり方を機械的に当てはめて検証したところ、4年分はほぼ平均点が取れ、あとの1年分も平均点に2問分(8点)くらい足りない程度だったそうです。今はどうか知りませんよ。自分で検証して、自己責任で使うかどうか決めてください。

5 このやり方が通用するのは、検察という仕事の性質が関係しているように思います。決して何でもかんでも重く処罰すれば良い訳ではありません。ただ、特に捜査を進める際には、まずは有罪立証、より重い犯罪の成立を頭に置いて、その証拠の有無を検討する、というやり方が合理的です。というか、そうしないと、「最初から有罪立証を諦める」「最初から重い罪名の立証を諦める」ことになってしまうからです。こういうことが、一斉考試の刑法の出題にも関係しているのかな、と思っています。

  なお、例外がありまして、「責任能力」の分野に限っては、このチート技は通用しません。先ほどの検証で平均点にいかなかった年は、責任能力の出題があった年です。

  また、同じチート技が刑事訴訟法にも通用しないか検証したところ、刑事訴訟法には全く通用しなかったと聞いています。

6 私の知る限り、このチート技は、まだ(執筆時点では)あまり知られていないようです。

  ただ、チート技にだけ頼るのではなく、ちゃんと勉強して自力で解ける範囲を増やしていくのが大切と思います。そうやっても分からない問題にぶつかった時に、初めてチート技の出番となるべきと思います。

7 また、副検事試験を目指すようになったら、一斉考試の勉強法だけでは通用しません。マルバツと論述という解答形式の違いは、求められるアウトプット能力に極めて大きな差があります。また、知識、理解の深さが伴わないと、そもそも論述する内容を組み立てることができません。あくまで、この記事に書いてあることは「一斉考試を目の前にして心が折れかかっている若手検察事務官向け」の対症療法です。悪しからず。

  そして、一斉考試が終わったばかりの掲載、済みませんでした。来年になったら、きっと書くのを忘れるだろうな、と思いまして。重ねて悪しからず。