副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

地検支部と庁務掌理検察官

1 新年度が始まり、おそらく大半が公務員であろう読者の皆さんも、それぞれ新しい部署で頑張っておられることと思います。

  公務員は、仕事の幅が広いですからね。何に当たるかは運です。検察庁だけでも、事務局、検務、捜査公判部門は全然仕事の中身が違います。今は、タイミングによっては庁舎新営の業務に当たる可能性だってあります。自分の家を建てるのだってあれこれ考えるの大変なのに、何十億円もの庁舎を建てろと言われたって、そんな仕事したことある人、ほとんどいないでしょう。でも、これを地検の会計課が中心になってやらないといけないんです。「新庁舎が建つまで帰ってくるな!」と言われて広域異動に出た方もおられました。

2 その点、副検事は、まあ捜査公判をやることには変わりないので、異動があってもそこまで大きく業務内容が変わることはありません。せいぜい、一般刑事か交通か、という事件の種類の違いくらいです。極稀に東京区検公判部、みたいな極めて特殊かつハードな異動もありますが、そこに行くということは「極めて優秀」と評価されてしまった訳ですから、まあ諦めるしかないですね。

3 他に、ちょっと変わってて、かつ業務内容が少し特殊なものとして、「地検支部の庁務掌理検察官」があります。地検支部には、常駐の支部長検事がいるところといないところがあります。支部長検事がいれば、マネジメントは全部支部長がやってくれます。しかし、支部長検事が常駐しておらず、副検事だけが常駐している地検支部というのも、結構あります。この場合、支部常駐の副検事が「庁務掌理検察官」が指名され、マネジメントを担当することになります。支部長代行みたいなイメージですね。

  多くは副検事1名、検察事務官5名前後くらいの小規模なところです。ただ、中には副検事2名、検察事務官10名前後みたいな支部もあります。

  支部というのは、本庁から遠いからこそ支部があるので、本庁の管理が行き届かないことが多いです。そういうところの庁務掌理検察官は、いわば一国一城の主みたいなもんです。だからこそ、好き勝手するようなおかしな人には任せられないのですが。

4 ちなみに、本当に地検支部の庁務掌理検察官になった時に心に留めておくべきことが一つあります。それは、「全部自分で解決しようとしない」ということです。検察の仕事というのは、時に大きなトラブルもあります。そして、それが本庁でだけ起こるとも限りません。支部でだって十分起こりうるのです。そんな大きなトラブルを、支部だけで解決しろなんて誰も言いません。すぐに本庁に助けを求めていいんです。というか、地検支部の庁務掌理検察官の最も大切な仕事は、「やばいときに『やばいです』と本庁の次席検事に電話をすること」です。あとは、次席検事が、やばさを見極めて、支部対応でよろしくなのか、本庁で引き取るのかを判断してくれます。一方、庁務掌理検察官が気が付かず、本庁に助けを求めなかった「やばいこと」は、間違いなく爆発します。あとのことは本庁が引き取ってくれるでしょうが、「もうちょっと早く言ってくれれば、、、」というやつですね。

5 それ以外にも、支部職員同士の人間関係とか、証拠品となっている現金等の管理とか、問題の種は色々あります。庁務掌理検察官、頑張れ!