副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

副検事試験の合格率

1 副検事試験の受験者数、合格者数が法務省のホームページに掲載されています(検察官特別任用分科会議事内容)。これをちょっと見てみましょう。「数字→数字」は「受験者数→合格者数」の意味です。

  令和5年の数字は、まだ掲載されていません。

  令和4年 筆記試験 119→23(19.3%)  口述試験 25→23

  令和3年      144→47(32.6%)                         47→45

  令和2年      149→36(24.1%)                         37→37

  令和元年      154→41(26.6%)                         44→43

  平成30年     149→46(30.8%)                         46→43

  平成29年     151→38(23.1%)                         41→39

  平成28年     141→38(26.9%)                         39→36

  平成27年     125→27(21.6%)                         28→27

  平成26年     123→26(21.1%)                         26→25

  平成25年     116→28(24.1%)                         30→30

  平成24年     100→25(25.0%)                         25→23

  平成23年     115→27(23.4%)                         29→29

 

  副検事 在籍800人(R4.7.1、検察官在職状況統計表による)  

 

2 ちなみに特任検事試験についても数字があります。

  令和4年 筆記試験   9→2        口述試験  2→0

  令和3年       11→0

  令和2年        9→1              1→1

  令和元年       12→0

  平成30年       9→0

  平成29年      10→1              2→1

  平成28年      13→1              2→0

  平成27年      19→2              2→1

  平成26年      18→0

  平成25年      15→0

  平成24年      15→1              1→1

  平成23年      19→1              1→1

 

3 さすが、特任検事試験は厳しいですね。

  また、副検事試験もざっくりと20%台半ばと、決して容易ではありません。しかも、意外なことに年によって合格率が随分とばらけています。令和4年なんて20%を切っていますね。

  ちょっと考察をしてみましょう。副検事の数は前記の通り令和4年7月で丁度800人です。ところが、「検察庁の職員の配置定員について」という通達では、令和4年3月30日時点で、副検事の定員は879名とされています。つまり、副検事の数は定員に足りていないんですね。遡って確認すると分かると思いますが、この状態は急にそうなったものではなく、一定期間、こういう状態が続いています。ということは、当局は、副検事試験実施にあたって、定員を直ちに埋めることを優先していない、と思われます。もちろん、定員に空きがあるのですから、できればこれを埋めたい気持ちがあるのは当然でしょう。ですから、ここで言えるのは、「当局は副検事としての能力を度外視してまで定員を埋めようとはしていない。」ということでしょう。つまり、副検事に任官するための一定の素養を備えている人材を選抜しており、そこに至らないと判断された人材は、欠員があっても採用していないと思われます。そう考えれば、年によって合格率にバラツキがあるのもうなづけます。

4 じゃあ、どういう基準で人材を選抜しているのか、そこは謎に包まれたままですね。手がかりは、それこそ研修誌の「設問の題意及び答案の傾向等」くらいでしょう。設問の題意等を外した際の冷酷な物言いを見ると、恐怖すら覚えます。しかし、出題が難しすぎた際には、柔軟に採点基準を調整(当初の採点基準にとらわれず、答案の傾向に合わせて能力の高低を評価できるよう基準を差し替える等)している様子も見えます。また、毎年違う問題を出題する中で、絶対的な評価をすることは、事実上困難でしょう。そういう意味で、結局はその年の受験者の中でどの程度できたか、という相対的評価に頼らざるを得ないと思います。毎年ほぼ20%は合格しているのですから、最低限このくらいは毎年採用する、と見ることができます。そして、そこからの上振れ分は「相対的評価では20%に入らなかった方から、能力の高い人を救済した」と考えれば、全体を合理的に理解できるのかな、などとも思いました。本当かどうかは知りませんが。