副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

憲法その9(令和5年答え合わせ)

0 愚痴になりますが、こういう答案系の記事って、書くのが大変な割にアクセス数が伸びないんですよね。おそらく、ガチ勉強中の方でないと、そもそも読もうと思わないからだと思いますし、それは仕方ないことなのですが。数は少なくても、読んでくださる方がおられると信じて、書いていきます!

  ということで、研修誌2023年10月号出ました。恒例の、副検事試験に関する「設問の題意及び答案の傾向等」による答え合わせです。毎年思うんですけど、この研修誌の記事、結構指摘が厳し目ですよね。勉強なしで答案構成をした上で、苦手な憲法民法の答え合わせをしていると、いつも心が折れそうになります。まあ、合格ラインを示すためには、ある程度の厳しさは必要なのでしょうが、設問の題意から外れた答案に対する仕打ちが冷酷というんでしょうか。逃げ道なくこき下ろされ、「勉強しろ!」と突き放される感じがします。それでも私は勉強しないんですけど。

1 では行きます。

  「設問の題意」ですが、「司法権についての基本的な理解を問うもの」とのことです。問1で「意義と例外」を、問2で問1を踏まえ「法律の争訟」(裁判所法3条1項)該当性の当てはめと、該当する場合の更なる例外の検討を求めているそうです。

  答案構成の時は「やっと三権分立が出た!」と喜んでいたのですが、やっぱり三権分立は設問の題意ではなかったようです。「研修教材五訂憲法に載ってる」「過去にも出題されている分野」と、当然勉強してるよね、的な指摘で締められています。勉強しない派としては、早くも崖っぷちに追い込まれた感があります。

2 「答案の傾向等」です。

  問1は、司法権の意義は多くが正確に記述しており、例外の「議員の資格争訟裁判」「裁判官の弾劾裁判」も概ね指摘できていたそうです。例外については、条文の指摘がない答案が散見された、と指摘が入っています。

  私の答案構成は、「司法権の意義」が書けていないのでしょうね。自分としては、三権分立に言及しているところで書いているつもりなのですが、出題側は、いわゆる「司法権の定義」を書くことを求めているのでしょう。また、三権分立については、出題意図と思って厚めに論じたのですが、多分ほとんど点数にならなさそうな雰囲気です。昔の司法試験は、これで通用したんですけどね、、、。例外の指摘を外さなかったのだけが救いです。

3 問2です。

  出題者としては、問1を踏まえて「法律上の争訟」の各要件を充足するか、充足したとしても別の理由によって司法権が及ばないとするか、という当てはめをしてほしかったようです。

  問2(1)について。「具体的権利義務ないし法律関係に関する紛争」に当たらず、そもそも司法審査が及ばない、という点が重要だったようです。一方、「法律上の争訟」の要件を検討することなく「立法権侵害」「違憲審査の性質」等を論じた答案が散見された点について「司法権の意義、要件の該当性から論じるという法的思考力が不十分」と切り捨てています。ほら、厳し目ですよね。いきなり立法権侵害から論じた身としては、逃げ場がありません。念のために付け加えた「具体的争訟云々」のところがメインでした。一言触れておいたことで、首の皮一枚つながった、という感じです。

4 問2(2)です。

  「板まんだら事件」が題材だそうです。名前は覚えています。インパクトありますもんね。私の答案構成は、出だしは「具体的争訟であり司法審査の対象になるようにも思われる」と悪くありません。ただ、その後に信教の自由の話に流れてしまいました。出題側は、「実質的には法令の適用によってに解決することができない→実質的には法律上の争訟に当たらない」と論じてほしかったようです。ただ、これを「丁寧に論じられた答案は少数であった」そうです。難しすぎたんじゃないですか?と突っ込みたいところです。この小問は、ギリギリ及第点でしょうか。

5 問2(3)です。

  悪い予感は当たるものです。「その場で考えてね」ではなく、令和2年11月25日の最高裁大法廷判決があるところだそうです。「研修教材においても記載されている重要判例」とのこと。知りませんでしたが、仕方ないので初めて読みました。裁判所の裁判例検索に全文が載ってました。従前は司法審査が及ばないとしていた最高裁判例を、大法廷判決で変更したのですね。それはさすがに重要判例です。

  私の答案構成は、変更後の判例とは異なる立場で、しかも対立利益(出席停止とされた議員が、議員としての本質的業務を行えないこと)に対する検討、配慮がほぼありません。ちょっとこれでは良い点はつかないでしょうね。判例に沿った記述をしていれば、そこそこの評価はしてもらえると思います。不勉強な人間は、残念な目に遭いますね。判例変更前だったら、私の答案構成でもそれなりに点数をもらえたはず、と強がって自分を励まします。

6 答案構成の自己評価ですが、どうなんでしょうねえ?自分としては、憲法統治は最後は三権分立の問題だと思っていますし、その観点からは、私の答案構成でも間違ってはいないと思うのです。ただ、設問の題意等の記載からは、三権分立への言及にそれほど配点があるようにはどうしても見えません。誰か、副検事試験に詳しい方に、私の答案構成を採点してもらいたいくらいです。ただ、まあ今回も設問の題意を外しました、と受け入れましょう。副検事試験の憲法では、やはり定義、意義から規範を導き、当てはめる、という検討と論述が重視されているのでしょうか。三権分立、ダメなんでしょうかねえ(しつこい)。