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そんなブログ沢山ありそうですが…

刑事訴訟法その5(令和4年答え合わせ)

1 解説を読むのを我慢して起案した答案構成の答え合わせです。合ってればいいんですけど、違ってるとこの作業、傷口に塩を擦り込むようで、辛いんですよね。今回はどうでしょう。

  今回は小問が多いので、「設問の題意等」と「答案の傾向等」を行き来しながら行きます。

2 まず小問1です。概括的記載の適法性ですね。

  「設問の題意等」は、昭和35年最高裁決定の指摘だけでなく、憲法35条、刑訴法219条1項を指摘し、これらが「べき物」の明示を求める理由の指摘を要求しています。

  私の答案構成は、刑訴法219条1項を指摘した上で、「無限定な記載はダメ。限定列挙の上で『その他、、、』はOK」というものでした。

  「設問の題意等等」からすると、最高裁判例憲法35条の指摘がない点、①裁判官に慎重に判断させる、②執行の際の権限濫用を抑止する、③受忍すべき範囲を示す、という「べき物」明示の理由について記載がない点が不足でしょう。

  ただ、「答案の傾向等」では、「べき物」明示の理由が書けている答案は「多くなく」だそうです。なら、私の答案構成でも、大きな差をつけられることはないでしょう。許容範囲と見ました。

3 次に小問2です。

  写真撮影の根拠に関して、「設問の題意等」は「捜索差押に当然付随する処分として許される」という立場だそうです。ただ、刑訴法111条の「必要な処分」でも、結論に異なるところはないと考えられる、そうです。そして、「必要な処分」説が多数を占めたそうで。条文の根拠があった方が安心だからかな、と思いました。

  (1)、(2)は、「設問の題意等」「答案の傾向等」とも記載が短いです。適法だが、「べき物」のどれに該当するのか記述がない、不十分な答案が散見されたそうで。これは、ただ書くだけの話なので、もったいないですね。また、私としては、(1)、(2)と別の設題になっているので、両者の違い、具体的にはもろに「べき物」に記載がある(1)と、ちょっと解釈がいる(2)の違いをさりげなく書いとくことも重要だと思っています。

  (3)は小問2の中では最も記述にスペースを割くべき問題だったようです。「べき物」該当性について、例示のどれに当たるのか、建造物の一部なら、そもそも「べき物」に該当しないのではないか、を検討して欲しかったようです。「べき物」に該当する、しない、という結論を示した上で、写真撮影の可否を検討して欲しかったような。私も、該当する、しないについては、はっきり結論は書けませんでした。ただ、「その点が明確でない答案が多かった」そうです。なら、大過ないでしょう。その上で、差し押さえることなく、写真撮影のみすることの適法性も、一応問題となる旨検討して欲しかったようです。私の答案構成では、フワッとそこに触れてはいます。どういう評価になるんでしょうか。当局に採点してほしいくらいです。

  (4)については、「違法!」と断じているのが研修誌です。ただ、ここは、私としては、結構悩んで良いところではないかと思います。悩んだ結果が「引きで撮影するならいいけど、個別の撮影はNG」という結論です。

4 まあ、全体として、私の答案構成は、合格答案の範疇に入るのではないでしょうか。

  さすがに刑法、刑訴法はそこそこまともなことが書けるようです。

  かえって、憲法民法の悲惨さが浮き彫りになりますね、、、。