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令和5年刑訴法問題

 刑訴法の問題も提供いただきました。とても長いですね。ありがとうございます!

 

刑事訴訟法

 夜間、路上において強盗致傷事件が発生した。犯人は、犯行現場から原付バイクを運転して逃走したが、被害者Vは、同バイクが逃走開始直後に街灯の下を通った際、同バイクのナンバープレートを目撃した。被害者Vは、直ちに110番通報をし、同ナンバープレートの番号を警察官に伝えた。その後、同ナンバープレートの番号等から被疑者Aが特定され、通常逮捕された。本件強盗致傷事件の捜査において、P警察官は、被害者Vの立会いの下、以下の通り、二つの実況見分を実施し、それぞれの経過及び結果を記載した2通の実況見分調書を作成し、作成名義人として署名押印した。

実況見分①)  犯行時刻と同じ時間帯に犯行場所において実況見分を実施し、被害者Vに、犯人の原付バイクのナンバープレートを目撃した際に被害者Vのいた地点(地点ア)と同バイクのいた地点(地点イ)を特定させた。実況見分調書には、両地点の距離や位置関係等を記載した図面を添付した他、地点アから地点イに止めた原付バイクのナンバープレートが見えるか否かを確認した状況を撮影した写真を添付した。この写真には、説明書きとして、「被害者Vは、『私が犯人の原付バイクのナンバープレートを見た位置はここ(地点ア)で、その時の犯人の原付バイクの位置はここ(地点イ)です。』と説明した。」、「本職が地点アから地点イの原付バイクのナンバープレートを見たところ、ナンバープレートの数字を確認することができた。」と記載した(以下この実況見分調書を「実況見分調書①」という。)。

実況見分②)  警察署の道場において実況見分を実施し、Q警察官が被害者役、R警察官が被疑者役となり、被害者Vの説明に沿って被害状況を再現した。実況見分調書には、Q警察官及びR警察官の姿勢・動作を撮影した写真(以下「再現写真」という。)を添付し、各写真には、説明書きとして、当該姿勢・動作に関する被害者Vの説明内容を記載した(以下この実況見分調書を「実況見分調書②」という。)。

 被疑者Aは、捜査段階において犯行を否認していたが、捜査担当検察官は、被疑者Aを本件強盗致傷事件により公判請求した。その後、公判担当検察官が、被害者の検察官面前調書、実況見分調書①及び実況見分調書②について、それぞれ立証趣旨を「被害状況等」、「犯人の原付バイクのナンバープレートの視認状況等」、「被害再現状況等」として証拠調べ請求をしたところ、弁護人は、被告人の犯人性及び公訴事実記載の犯行状況を争うとして、上記証拠のいずれについても不同意との意見を述べた。

問1 実況見分調書①及び実況見分調書②の証拠能力について、問題となる点を挙げ、関連する条文を指摘し、両実況見分調書の違いを比較しながら論じなさい。

問2 公判担当検察官は、被害状況等の立証のため被害者Vの証人尋問を請求した。証人尋問の際、実況見分調書②にされた再現写真を使用するには、どのような方法によるべきか、問題となる点を挙げ、関連する条文を指摘しながら論じなさい。