副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

副検事が担当する事件

0 このブログを書くときに、「どんなことを書いたら、面白く読んでもらえるだろう。」と考えています。「こういうのが読みたい」というリクエストがあったら、是非コメント欄に記載して下さい。

1 今回は、副検事が担当する事件についてです。副検事は、通常は、殺人とか脱税とかは配点されません。これらは、主に検事が担当します。ただ、評価が上がると、殺人事件について、主任検事の応援として投入される副検事や、特捜部に配属されて脱税事件を担当する副検事は、少ないながらもおられるそうです。

2 副検事が担当することが多い罪名は、出入国管理及び難民認定法違反、覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反、窃盗、詐欺(無銭飲食、無賃乗車)、暴行、傷害あたりでしょうか。

  いずれも発生件数が多く、かつ検察官事務取扱検察事務官に任せるには難しい側面がある、という事件です。

3 出入国管理及び難民認定法違反は、要するにオーバーステイですね。この事件の難しさは、まず外国人であるため、通訳を介する必要がある、ということです。通訳人に的確に通訳してもらうためには、主語、述語、目的語を明確に問う必要があります。これが、慣れないと難しいのです。普段、いかに日本語を喋る際に主語、目的語を省略しているかを痛感します。

  また、外国人ですから、人定、つまりこの人がどこのどなたなのかをはっきりさせる必要があります。これも、パスポートがあれば良いのですが、結構パスポートを持ってない人がいます。パスポートも無しで外国にいるって怖くないのかな、と思うのは、日本人的感覚なのでしょうか。

4 覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反は、使用、所持が多いです。大麻は、使用罪はないんですけど。

  これも、手続の適法性を確認し、法廷で立証できるよう証拠化することや、所持なら所有関係、使用なら犯意など、争われやすい部分が色々とあり、結構難しい事件が多くあります。場所によっては検取の方にお願いしている庁もありますが、やはり副検事に頼る庁が多いようです。

5 そして窃盗です。これが難しい。特に、非現認の窃盗の難しさは大変です。非現認とは、要するに誰も目撃していない、ということです。誰も見ていないわけですから、ある証拠と言えば、被害にあった後の現場の状況、あれば防犯カメラと、あれば自白、そんなものです。ここから、どれだけ、法廷での立証に耐えられるだけの証拠を形にできるかの勝負です。まあ、できなければ不起訴なんでしょうが。非現認の窃盗事件の捜査は、奥深いそうです。これを迷わず任せられる副検事は、まあ一流と言えるとか。

6 無銭飲食、無賃乗車の詐欺も、結構難しいです。事前の詐欺の犯意を立証する為には、被疑者が「自分はお金を十分に持ってなかった」と認識していたことを、何とか証拠化する必要があるわけです。被疑者が自白しているなら、犯行前に最後に財布の中身を見たのはいつ、どこでか、とか聞くんでしょう。もし被疑者が喋ってくれない時は、、、。知恵を働かせて、「ここにこんな証拠があるんじゃないか?」などと推理をし、頑張って探すしかないでしょうね。

7 更にレベルの高い副検事は、強盗、強盗致傷くらいまでされるそうです。強盗致傷だと裁判員裁判の対象事件ですね。目標を高く掲げるなら、このレベルを目指して欲しいものです。