副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

年度替わりの事件引継ぎ

1 新年度が始まりました。

  どの役所でも、年度替わりの業務の引き継ぎは、厄介なものだと思います。

  案件は、年度替わりとか、気にしてくれませんからね。

  刑事事件も同じです。特に寒い冬が過ぎ、暖かくなると、みんな元気になります。事件の純粋な件数が増えがちな時期になるようです。

2 そんな中、異動があり、事件を後任者に引き継がなければならない検察官は、どうするのでしょうか。

  正解は「全力で頑張る」のです。

  処分できる事件は、できる限り処分を決めます。引き継いだら、後任の検察官がもう一度記録を読むことになります。それは、結局業務を2倍に増やすだけです。そんな無駄を出来るだけ減らすのが、主任検察官の務めです。

  ただ、全員がそうではないんですよね。中には、割り切ってしまい、手間のかかる事件を引き継ぎに回して、自分はさっぱりした気分で異動していく、という人もいるそうです。後任の人は大変ですよね。

  そういうズルがないよう、検察官の上司は、ちゃんと目を配り、適度にプレッシャーをかけるとか。プレッシャーの力加減が絶妙だそうです。

3 また、異動する側としては、それまで担当してきた案件を全て手放す、という解放感もあるそうです。リセットボタンを押すような感覚でしょうか。仮に異動した先にどんな困難が待ち構えていようとも、現実を見てしまう前は、何の事件も担当していない身軽な状態です。一瞬だけの完全な自由、とでも言うのでしょうか。出来るだけ次の任地に行くのを遅らせたいところですが、そうも行きません。年度替わりは、異動がない検察官だけで事件を担当していますから、早く次の任地に着任して、助けてあげないといけないのだそうです。いつ着任するかはモラルの問題です。ただ、噂ですが、着任が遅かった検察官から順番に、その年度の年末年始の日直当番が割り当てられる庁があったそうです。要するに、着任が遅い罰ですね。色々なやり方があるものです。

4 検察官の異動は、捜査、公判という業務内容は同じなのですが、手続面については、庁によってやり方が結構違ったりするそうです。庁舎の出入り、鍵の管理、身柄事件送致時間、身柄呼出期限、決裁ライン、裁判所への移動手段、、、上げ出すとキリがありません。しかも、その庁の人達は当然のこととしてやっているので、「みんな分かっている」前提で物事が進みます。受け入れる側も、オリエンテーションをしたりするのですが、全てを完全に網羅するのは意外と難しいものです。あとは、大きな間違いが起きないように祈るだけです。