副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

ちょっと変わった副検事試験の勉強方法

1 研修誌にも副検事試験の合格体験記が載っていますが、皆さん勉強時間の確保も大変そうですが、「何を」「どうやって」勉強するのかについても、頭を悩ませておられるようです。

  そんな中で、ある勉強法について、ちょっと書いてみます。

2 その勉強法というのは、「模範答案をただ書き写す」というものです。

  この「ただ書き写す」という勉強は、論文答案のスタイルを体で覚える、という趣旨のようです。

  そして、これは、本格的に試験勉強を始める前の準備段階でやる勉強だそうです。ただ、分量が、それこそ何十通も書き写すという膨大なものなのです。

  正直、最初にこの勉強法を聞いたときには、「そんなの意味あるのかな?」と感じました。ただ、このブログでは、あまり後ろ向きな話は書きたくなかったので、その点にはあまり触れてませんでした。ちょっと、この認識を改めるきっかけになったネット記事があったもので、この機会に触れてみることにしました。

3 そのネット記事は、高校野球の監督の話が複数載っているものでした。目を引いたのが、近いうちに時速150キロの速球を投げる投手の学校と対戦予定がある高校の監督の話でした。やはり、150キロの速球は、普通の高校生には打てるものではないそうです。どういう練習をさせるか悩んでいると、先輩からある練習を教えられたそうです。それは「バットを持って立ち、ピッチングマシンの150キロのボールを打たずに何度も見送る」というものでした。決して打ってはいけないそうです。生徒にやらせてみると、そのうちタイミングを取れるようになり、打てそうな気になるそうです。でも練習では決して打たせない。そのまま試合に突入です。試合の日は生徒は「今日は打っていいんですよね!」とやる気満々。1番バッターが速球を強振、ファールでしたがタイミングバッチリで、みんな勢いに乗ったそうです。結局速球投手から7、8本ヒットを打ち3点もぎ取り、負けたものの生徒は大満足だったとのことでした。

  この練習で打たせなかったのは、「失敗体験を積み重ねない」ためだそうです。150キロの球をいくら打とうとしても、打てません。打ち損なうのは「失敗」です。一方、打たせない練習は、速球を見て目を慣らし、体を慣らし、タイミングを取れるようにします。慣れる、というのは人間の能力の一つのようです。

4 この記事を見たときに、「ただ書き写す」勉強法が頭に浮かびました。まだ勉強を本格的に始める前ですから、論文なんかいきなり書ける訳はありません。それなのに、難しい論文問題にいきなり取り組んで、論文が全然書けずに落ち込む、これこそ失敗体験を積み重ねているだけになります。それよりは、できること、つまり模範答案をただ書き写すことから始める、というのは、一理あるのかな、と思うようになりました。

  そして同じように、次の段階は、「とても簡単な論文問題を書いてみる」になるのだろうな、と思いました。副検事試験本番の問題は、いきなり書くには難しすぎます。ただ、「とても簡単な論文問題」って、普通は手に入らないでしょうね。なので、自分で作ってみるしかないでしょう。例えば、今日勉強した分野について、絶対答えられそうな簡単な論文問題にして、15分で論文答案を書いてみるとか。こうして、成功体験を少しずつ積み重ねていく、という勉強方法もあるのかもな、と今では思うようになりました。

5 まあ、この勉強法も、万人向けとは思いません。人によっては、時間がかかり、まどろっこしい、となるかも知れません。結局、自分に合った勉強法は、自分で色々考えて見つけるより他ないのだと思います。