副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

憲法その5(令和3年答え合わせ)

1 憲法その4でやってみた、令和3年副検事試験憲法の答案構成について、研修誌の「設問の題意と答案の傾向等」を参考に、答え合わせをしてみましょう。

2 まず問1では、「唯一の立法機関」の意義に関して、国会中心立法と国会単独立法に触れ、その意味について正しく論じる必要があったようです。そういうのありましたね。言われれば思い出すんですが。全然書けなかった。この指摘ができない、あるいは意味を正しく論じられない受験者は相当数いたそうで、「低評価にならざるを得ない」そうです。撃沈!

3 問2①ですが、憲法31条の罪刑法定主義に反しないかが最大の論点だそうです。、、、権力分立と関係ないじゃないか!、、、まあ刑事事件を扱う副検事試験ですから、文句は言えないのですが。なんかこう、引っ掛けられたような気分が拭えません。負け惜しみですね、はい。気づきませんでした。罪刑法定主義なんて、刑法の問題だと思っていたので、受験生時代も憲法のために勉強した覚えはほとんどないんですけど。判例とかあるんですね。知りませんでした。

4 問2②ですが、憲法94条に関して、徳島市公安条例事件の趣旨に沿った判断基準を示すと良いようです。この論点が徳島市公安条例の件でしたか。中身はうっすら記憶していたのですが、事件名と結びつきませんでした。ここはまあそれなりに書けたかな、という感じです。

  なお、ここが憲法の難しいところです。憲法94条の「法律の範囲内」という文言の解釈が問題になっています。当然、いろんな解釈が可能で、色んな理由づけも可能なように思われます。ただ、この場合、正解があるとしたら、それは「最高裁判例」しかないのです。判例には、「判例だから」という絶対的な根拠があり、ほかの意見は「判例とは違う見解だから」という絶対的な欠陥があることになるのです。つまり、憲法という法律の解釈を進め、理屈を学ぶ中で、「ここは判例を覚えるしかない」という部分を見極めながら勉強を進める必要があるのです。「法律の範囲内」の解釈は、判例を覚えるしかありません。こういう勉強、私は苦手だったんですよね。なので、なるべく覚えることが少なくて済むように、「二重の基準」で押し切れるところは、それで押し切っていたのです。

5 結局、私の答案構成は、「中心立法、単独立法」「罪刑法定主義」という大きな論点を外しており、「低評価」答案だったでしょう。本問は、高得点者と低得点者の差が大きかったようです。

  うーん、「統治はチョロい」とか大見え切っておいて、ちょっと困ったものでしたね。こうなった理由を検討してみます。今回の「題意と傾向等」を見た感想は、「論点を結構重視している」ということです。一方で、統治の根本原理である「権力分立」に関する言及は、「題意と傾向等」にはほぼ見られませんでした。(旧の)司法試験の場合、統治の問題は、常に最後は権力分立の問題に行き着いていたので、「ワンパターン」「チョロい」だったのですが、もしかしたら、副検事試験の憲法は、原理原則の権力分立にはあまり重点を置かないスタイルなのかもしれません。もちろん、1年分の問題を見ただけで決めつけるのは危険ですが。ただ、罪刑法定主義という、権力分立との関係が薄い部分を、憲法で聞くか、、、、と驚きました。

  まあ、設問の題意を見抜けなかった者の負け惜しみです。今回の統治の問題で学んだことは、「ちゃんと勉強しよう!」ということでしょう。参りましたね。