副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

検察官の業務と雑用

1 検察官の雑用について質問をいただきました。

  ①検察官のプレイヤーとしての業務に専念できるのか、②検察事務官に優秀な方は多いのか、という他省庁の方からの質問です。②は「失礼な質問とは承知の上で」とのことです。

2 ①の質問についてですが、まあ雑用は色々ありますよね。他官庁からの講義依頼、各種会同(どこかに集まって事例発表等する奴です)、種々の研修、裁判員裁判員リハーサル参加等。コロナ自粛で、対外的な行事がかなり減少しているので、これでも捜査公判以外の業務はかなり減った方です。

  思うに、プレイヤーとしての仕事に専念できる人というのは、2種類いると思います。1つは、特捜部のように、能力の高さから、プレイヤー業務に専念することを強く求められる人。もう1つは、任官したてなど、能力や生産性が高くない状態のため、プレイヤー業務以外の仕事が割り振られない(割り振ってもらえない)人です。この2種類以外の人は適宜雑用が降ってきます。基本的に、能力が高ければ高いほど雑用が増えます。

3 ②についてですが、検察事務官に任官する方は、当然公務員試験に合格しており、一定の能力を備えています。その上、検察庁というのは、就職先としての官庁の中では、マイナーな部類です。何をやっているのか見えづらいし分かりづらい、どうも犯罪に関わるらしい、など、怪しげな雰囲気すら漂います。そういう検察庁で働こう、と決めた時点で、検察事務官としての仕事に一定の覚悟とモチベーションを持っているように感じます。新採用の検察事務官で、最初っから能力、モチベーションが大問題、みたいな人は、あまりいないと思います。任官後は、役所の中で当初の能力やモチベーションが維持、進化したかによって、パフォーマンスに違いが出ると思います。多くの検察事務官は、順調に成長し、高い能力とモチベーションを検察庁の業務に活かしてくれます。ただ、中には、サボり癖がついてしまったり、心身を痛めてしまったり、成長がおかしな方向に向かってしまった人もおられます。幹部検察事務官は、若手検察事務官が順調な成長を遂げられるよう、役所の雰囲気作りに苦労をしています。

4 検察官と立会事務官についてです。公務員削減が進むこのご時世に、検察官1人に立会事務官が1人ついてくれて、常時一緒に事件に取り組んでくれることは、ものすごい好待遇です。立会事務官がいてくれることを当然と思うなんて、とんでもないことです。検察官は、日々、感謝の気持ちを持って立会事務官と接するべきです。

  検察官と立会事務官のペアの能力は、両者の掛け算で決まります。立会事務官も、経験が浅かったり、タイピングが苦手だったりなど、完璧ではありません。それでも立会事務官は、できることについては懸命に頑張ってくれます。物足りないところがあれば、そこは検察官がフォローし、力を合わせて事件に取り組むのです。一方、極めて能力の高い立会事務官もいます。その場合は、検察官は立会事務官の力を借り、自分の能力を超えるパフォーマンスをしましょう。

5 他省庁から副検事に任官した方の中で、たまに立会事務官について勘違いをされてしまう方がいます。他省庁からの副検事任官者には、最初は能力の高い立会事務官がつくことが多いです。これは、検察の仕事に慣れていない他省庁からの副検事任官者を強力にフォローしてもらうためです。いわば特別扱いです。一方、検察事務官からの副検事任官者の場合は、立会事務官の経験が豊富なものが多いことから、若手立会事務官の育成、教育も大事な仕事の一つです。他省庁からの副検事任官者の場合、最初は、起訴状起案など各種文書の起案、公判の証拠分けなど、本来検察官が自分でやるべき業務のかなりの部分を立会事務官がやってくれたりします。これは、「検察官が自分でできるようになるまでの特別扱い」です。検察官は、そこを自覚し、早く成長しなければなりませんし、多くの方はそこは分かっておられます。ただ、たまにそこに気づかないまま数年間を過ごしてしまう、他省庁からの副検事任官者もいたりするようです。どうなるかというと、特別扱いが終わったにも関わらず、「これは検察官の仕事ではない。立会事務官の仕事だろう。」と本来検察官がやるべき業務を、立会事務官に押し付けるようになってしまうことがあるそうです。「特別扱い」を、そうとは認識せず、それが当然のことだと勘違いしているのです。勘違いしていたわけですから、自分でできるようになってません。こうなると悲惨ですね。それで立会事務官に厳しく当たるようにでもなったら、もうそんな検察官についてくれる立会事務官なんていません。自分で立会事務官を探しますか?見つかるといいのですが。