副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

検察事務官の副検事志望

1 最近、検察事務官副検事試験に関心をお持ちの方からコメントをいただきました。

  元々このブログは、副検事を志望している他省庁の方に読んでいただくことを主眼に置いていました。それは、「検察事務官だったら、身近に副検事が沢山いるんだし、情報に困ることはないだろう。」という思い込みが私にあったからです。

  ただ、コメントを下さった方は、副検事任官の情報に接する機会が乏しいようです。

  考えてみれば、検察事務官は、大きく分けて「捜査公判」「検務」「事務局」の三系統に分かれます。捜査公判部門以外だと、検察官と毎日長時間顔を合わせるわけではありません。また、これら以外に出向もありますしね。

  さらに、検察事務官の中でも、副検事試験志望というのは、やや特殊なルートですしね。志望を明確に打ち出すと、「あいつは、あの人は、副検事志望」という目で見られ、ちょっと特殊な扱いをされたり。また、近年は副検事の定員枠が埋まっておらず、副検事志望者の発掘が検察庁内のミッションになっているそうです。そのため、「ちょっと関心があります」くらいのノリだったのに、「そうかそうか副検事に興味があるんだな。希望するんだな。よしよし頑張れ。」みたいに引きずり込まれかねない雰囲気もあり、迂闊に興味を口に出しづらいかもしれません。

  そこで、今回は、検察事務官副検事志望者について、ちょっと書いてみます。まあ、多分与太話みたいになると思いますが。

2 まず、検察事務官副検事試験受験資格についてです。

  これは確か、「3級以上の検察事務官」「検取(検察官事務取扱検察事務官)の経験2年以上」のいずれかです。早いのは、検取です。30歳で検取の資格を付与できるようになるので、検察事務官の最速副検事試験合格は、通常は33歳になります。

  ただ、30歳で直ちに検取資格を付与してもらえるのは、副検事試験受験の意思を明確に示している人がほとんどと思われます。なので、その頃には、さすがに受験意思を表明している必要があるわけです。副検事志望者にとって、検取をもらえるかは結構大きな問題で、これでトラブったケースも聞いたことがありました。単なる思い過ごしだったのですが、人生かかるとみんな真剣だな、と改めて思いました。

  なお、これまで最年少の副検事試験合格者は、32歳と聞いたことがあります。他省庁出身の方で(その方が早く受験資格を得られる場合があるようです。)、その後、特任検事試験も合格され、大変偉くなられたそうです。

3 次に、受験者像です。

  やはり法律家の試験ですから、法律に強くないといけません。

  そういう意味で、検察事務官の一斉考試で表彰歴を持っている方が多いそうです。一斉考試とは、年に一回ある、若手検察事務官が必修のマルバツテストです。この勉強は、「研修」という雑誌でやるのが入り口のようです。この雑誌は、検察事務官だといつのまにか購読する羽目になっていますが、良い雑誌です。私が学生の頃は、大学図書館にも当然のように置かれていたのですが、今は一般に購入できるのでしょうか。やはり法総研に問い合わせですかね。なお、研修誌には、副検事試験の講評みたいなものも載ってます。

  一斉考試で良い成績が取れるようになれば、次は実際の試験勉強です。高検や最高検が、掲示板(検察庁内部のネット)などに色々情報を載せているそうです。場所によっては、勤務時間外の活動として、独自の答練をやってるところもあるとかないとか。そんなのを参考にしながら、少しずつ情報を集め、実際に志望するか、気持ちを固めて勉強していくのでしょう。

4 実際に受験する際は、検取として事件配点を受けながらか、捜査公判部門のチェックマン(検察官の起案した起訴状を、法律的観点から、更に証拠から、誤りがないかをチェックするポジション)として働きながら受験されるケースが多いようです。

5 副検事試験は、合格するか、自分で卒業するかです。

  卒業された方は、多くは捜査公判部門で活躍されます。検取として単独捜査(道交法違反や軽微刑法犯等の捜査)をしたり、チェックマンなど、生きる道は多くあります。そもそも検察庁は、法律を扱う役所です。法律の勉強は、必ず役に立ちます。検察庁に入った以上、一回くらいは検取をやってみるのもありと思います。