副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

検察庁主催の研修について

1 先日の記事の中で、「検察庁主催の答練」について言及したところ、「他省庁の者が参加する手続」について、ご質問がありました。

  分かりやすく「答練」と言ってしまいましたが、正確には「将来捜査・公判に専従する志望を有している者に高度な専門的知識と技能を修得させる」研修です。

  私は、この研修の詳しいことは全く知りません。ですから、記事の内容の正確性について、責任を持つことはできません。あくまで、手がかりとしてのブログ上の噂話と受け止めて下さい。

2 この研修は、「検察事務官特別専攻科研修」(通称「特専科」)のことです。

  例年12月に30人程度の研修員を対象に、2、3週間程度実施されている、法務総合研究所第二部教官による正式な研修です。

  最初は座学で法律ごとの「考え方」の講義が行われ、続く10日間位で、1コマ2時間の「論文作成、論点整理」が、憲法民法、刑法、刑訴、検察庁法について1日2コマ位あるようです。また、当日実施の起案の検討、座談会や個別講評もあるようです。

  コロナ前は、千葉県の新浦安駅から徒歩20分くらいのところにある「法務総合研究所」に2週間以上泊まり込み(寮があり、食堂もあります)で実施されていたそうです。

3 この研修のレベル感ですが、「次、又はその次の副検事試験で合格獲得を真剣に狙っている人」というイメージだそうです。

  この研修は、1人1回しか受けられません。そういう意味で、1回使ったら無くなってしまう切り札みたいなものです。

  また、検察事務官の場合、間もなく受験資格が得られる見込みの立場にあること、所属庁から能力について一定の評価を受けていることが必要なようです。起案を個別に見る関係で、人数的な制約があるため、希望すれば誰でも受けられる研修ではないのでしょう。

  最近、能力的に研修について来られず、せっかくの1回のチャンスを無駄にしてしまう人をなくすために「ミニ試験」が採用されたそうです。これは、出題範囲を絞って(刑法の財産犯、など)、45分くらいで記述式の答案を作成するものだそうで、ここで「可」ならば研修を受けられるようです。

4 では、他省庁の方がこの研修を受講するための手続きですが。

  この研修は、例年6月末頃に「参加希望者の調査」という文書が回るようです。そして、その際、検察庁だけでなく、副検事試験の受験資格を得られる官署(矯正、入管、海保、警察その他色々あります)に対しても、同趣旨の文書を回しているはずです。

  ただ、実際に他官庁から副検事試験に合格された方でも、そもそも特専科研修の存在を知らない方もおられるようです。12月に2週間以上かけて実施する研修なので、役所の方で「そもそもそんな研修には出せない」と判断した場合は、周知しないのかも知れません。

  その後のスケジュールですが、8〜9月の特定の日時に、一斉にミニ試験を実施し、「可」なら合格で12月に本番の研修となるようです。

5 かつて研修員だった方から、一緒に研修を受けた中に他官庁の方がいた、という話を聞いたこともあります。ちなみに、その他官庁の方もミニ試験を受けたそうです。

  なので、研修を受けること自体は、可能と思います。ただ、元々検察事務官向けの研修ですから、他官庁の方が受けるに際して、色々不便なことはあるのだろうな、と思っています。また、研修員については、「原則として検察事務官」とされていることもお伝えします。

6 本当に研修を受ける手続を取る時は、問い合わせをして手続を確認して下さい。

  研修の担当部門は法務総合研究所研修第二部です。また、窓口は、各高等検察庁総務部や、各地検の総務部(部のない地検は総務課)です。ただ、高検や地検は、手続の窓口になると思いますが、分からないことは結局法総研に問い合わせることになります。なので、情報を得るなら直接法総研か高検に、実際の手続は地検に、というのが良いと思います。

7 質問がありましたので、詳しく書きましたが、この研修は、既に勉強を進めて、合格に近い力を持つ方が受けるものだと思います。「研修を受けたら、すごく能力が伸びるかも」というような研修ではないようです。「すごく能力が伸びる余地がある」状態でこの研修を受けても、おそらく研修のレベルが高すぎると思います。答案の書き方の練習については、司法試験予備試験の答練などを使うのが良いのではないか?と個人的には考えています。