副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

刑法その1

1 刑法という科目のイメージについてです。

  なお、前に何かの記事で、「最初は刑法各論からの勉強がおすすめ」みたいなことを書きました。これは、私の受験が「刑法は総論1問、各論1問」という形だったことによります。その後、副検事試験の問題を見ると、1問の中に総論と各論が両方入っている形だと分かりました。副検事試験について、勉強不足でしたね。

2 とはいえ、1問の中に総論と各論が両方入っている、ということは、それぞれの論述内容は厚くなくても良さそう(というか、一々細かく書いている時間がない)と感じました。

  また、抽出すべき問題点が多いことから、論述内容の厚さよりは、問題点抽出、論理的な検討順序の組み立て能力を重視しているのかな、と感じました。

3 刑法総論についてです。特に論文の答案を書いていた頃に感じていましたが、「全体の構造」を頭に浮かべながら、問題を検討するのが大事だなあ、と思います。

  大枠として、「構成要件該当性」「違法性」「責任」。「構成要件該当性」の中に「実行行為」「結果」「因果関係」「構成要件的故意」。「実行行為」の中に「不作為犯」「間接正犯」等。

  こうして、各項目が大枠の中のどの部分の問題なのか、を頭に予め入れておき、論文答案を書くときは、問題点を抽出しながら、この大枠を頭に浮かべつつ、全体の論理的な答案構成を考える、みたいなことをします。

  問題点の数が多くて、相互の論理的な検討順序がゴチャゴチャしている問題なんかだと、特に大事な作業と思います。

4 刑法総論の論文問題で、特に印象に残っているのが、平成6年の刑法総論の問題です。誤想過剰防衛が出たんですね。当時、誤想過剰防衛は、「誤想防衛と過剰防衛を足したもの。以上。」で予備校の授業は終わっていました。論点主義に嫌気がさしていた司法試験委員の先生たちが、その間隙を縫って、論点としての勉強がほぼなされていない部分として出題したのだろうと思っています。

  実際に大枠に照らし合わせて検討していくと。

 「正当防衛は急迫不正の侵害がない上、防衛行為が過剰なので成立しない」

 「過剰防衛は、急迫不正の侵害がないので成立しない」

 「誤想防衛は、防衛行為が過剰なので成立しない」

と、どれも要件を満たさない、という状況の中で、「じゃあ普通に処罰するのか?」という問に、「それでは不公正である」ことを、ちゃんと理由づけをして主張します。かつ、刑責を軽減するという結論についても、法的な理由づけと、総論の大枠の中における位置づけを検討した上で論じる必要がありました。この法的な理由づけの部分は、自分の中からなんとか捻り出すしかなかったという記憶です。

5 「知らない問題として解く」トレーニングを積んでいてよかった、と思った瞬間でした。それでも、なかなか手強い問題で、1問で1時間15分くらい使い、各論の方は残り45分で、かなりやっつけ仕事で書いた覚えがあります。

  この誤想過剰防衛の問題は、論点ブロックカードだけの勉強をしている人は、書けなかっただろうな、と今でも思っています。

  論文試験の本試験問題なんて、他のはほとんど覚えていませんが、この誤想過剰防衛は印象に残っていますね。

6 刑法の問題についても、そのうち論文問題の答案構成とか、ご披露した方がいいんだろうな、と思っています。一方で、「今の自分でちゃんとできるかな」という心配もあります。踏ん切りがついたらやってみます。いつか。