副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

検察事務官から副検事へ

1 これは人から聞いた話を色々まとめた上で、自分で感じていることです。

  検察事務官副検事って、求められていることが違うみたいですね。

  優秀な検察事務官であった人ほど、ギャップが大きいみたいです。

  任官した時には、そこを意識して、考え方を変えないといけないみたいです。

2 特に、優秀とされる検察事務官の方は、業務の達成目標が「上司等から求められているものを、適切、的確にキレイに完全に仕上げて持って行く。」ということになるようです。

  それをやり切っていた、というのもすごいことだと思いますが。

  ただ、この業務達成目標を、副検事に任官してからも同じように考えると、大変なことになります。

3 目に見える結果としては、担当事件がすぐにたまってしまうんですよ。終局処分に至ってない事件という意味で、未済事件と呼ばれてます。

  身柄事件でも、何件か配点されますから。

  これを、優秀な検察事務官マインドでやろうとすると、一件に膨大な時間がかかるんですよ。類似事件の記録を参考に読んでみたり。細かい点まで法律解説書(大コンメンタール刑法等)で確認し、検討したり。

  身柄事件だけでも精一杯で、在宅事件なんて全く手が回らなくなります。

4 また、本人の気持ちとしても辛いでしょうね。優秀な検察事務官としては、失敗は「悪」のようです。

  それまでは、上司等から求められるものに100%応えてきたのに、任官した途端にそれができないような失敗だらけの気持ちになる訳ですから。

  「こんなんじゃダメだ!もっと頑張らなきゃ!」そして、また上司等の期待に100%応えようと頑張ってしまう…。まあ、普通はそうなる前に上司等がフォローを入れるのでしょうが。

5 何が問題かというと、検察官の業務というのは、任官してすぐに「適切、的確にキレイに完全に仕上げる」ことができるほどには、簡単ではないということ、そして、上司等も実はそんなことを求めていないことなんです。

  単なる感覚ですが、通常の事件の終局処分に際して、上司等から指導を受けることがほぼなくなるまで、10年くらいはかかると思います。

  任官したての頃なんて、ほぼ全てが指導です。要するに失敗だらけな訳です。

  もちろん、できる限りのことはやってから上司等のところに持っていきますが、一方で時間の制約もあります。身柄事件なら満期が、在宅事件でも、通常は受理から3か月以内には終局処分したいですよね。

  なので、「適切、的確にキレイに完全に仕上げる」から、「時間的制約の中で、自分に出来ることを出来る限り」に業務の達成目標を変えないといけないんですね。

  上司等が求めているのも実は後者です。上司等としては、時間的制約を超えて事件を抱えこまれるのも困るのです。上司等の方でなんとかする時間がなくなっちゃいますから。

  そして、出来る限りやっていって失敗したら、仕方ないんです。そうして、少しずつ検察官の仕事を覚えて行くのです。失敗は成功のもとであり、「悪」では無いのです。

6 ただ、優秀な検察事務官だった人ほど、この考え方を変える、という奴が難しいみたいです。数年単位の時間がかかった、という人もいるようです。

  一方で、任官して、すぐに「時間的制約の中で、自分の出来ることを…」が出来る人もいるんです。そういう人はどんどん事件を進めますし、順調に成長していきます。

  おそらくですが、そういう人は、元々検察事務官の頃から、業務の達成目標が「時間的制約の中で…」だったのだろうと思います。だから、本人は前と同じことをやってるだけ。検察事務官だった頃は、おそらく上司等からさほど評価が高くなかったと思われますが、検察官のニーズにはぴったり、ということなのだと思います。