副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

法律の勉強の順序

1 法律の勉強を始めようとするときに困るのが、「何からやったらいいか、さっぱり分からない。」ということですね。

  何しろ科目も複数あって、範囲も膨大ですから。

  「ようし、全部やってやるぞ!」と意気込んだって、一通り勉強するだけでも時間かかるし、最後の頃には、最初に何を勉強したか忘れちゃいますよね。

2 これからお話しするのは、自分が法律の勉強の仕方をあれやこれや考え、試し、頑張ってみた経験を踏まえて、「今から勉強を始めるなら、こうするかな。」という内容です。

  まず、科目は刑法各論から始めるでしょう。

  なぜかというと、「勉強する内容を絞りやすい」、そして「勉強した部分だけを使って、すぐにアウトプットができる。」という、ほかの科目にはない特徴があるからです。

  例えば、窃盗罪を見てみましょう。窃盗罪は、問題点(論点ということもあります)がいくつもあって、それなりに勉強することはあります。とはいえ、いくつもある刑法犯の一部であり、現実味のある時間(数日とか半月とか)で、一通り勉強をおえられます。

  さらに、窃盗罪の勉強を終えれば、窃盗罪に関する論文問題(副検事試験の問題等)を解いて、書くことができます。

  こうすることで、「法律の勉強って、こんな感じなんだな、ということを、比較的短時間で経験することができるのです。

3 なぜ刑法各論だと、こういうことができるのでしょうか。

  それは、刑法各論が、刑法犯の1つの条文の解釈、適用という、とても限局された場面を問題にしているからです。良くも悪くも、刑法のほかの条文やほかの制度とのつながりとか関係を考える必要がほとんどない(中にはありますよ)からです。

  これが刑法総論だと、構成要件該当性、違法性、責任という大きな枠を意識し、その中でどう位置付けられる問題か、ということを考えたりする必要があります。

  憲法民法も同じですが、全体の枠組みとか原理みたいなものを意識しながら問題点の抽出と検討をする必要があるのです。

  最終的には、こういう力がどのくらいあるか、というのが法律家としての能力になるのです。

  んが!最初っからそんなことできるわけありません。できる人も中にはいるのでしょうが、少なくとも私には無理でした。

  なので、より限局された場面に関する刑法各論から始めることで、法律のもっとも分かりやすい表面的な部分から勉強することができるのです。

4 こういうと、「より本質的な部分を学ぶべきでは?」とも思われます。できるんだったら、それがいいですよね。私もそう思っていました。そして、いきなり本質的な部分を学びたいと色々勉強の仕方を試してみては、失敗を重ねていったんですね。

  結局、「本質的な部分を理解するには、表面的な勉強を少しずつ重ねて、少しずつ理解を深めていくのが確実」と思い至りました。そして、この「表面的な勉強」というのが、2021.1.29 に「予備校的勉強云々」でも触れたように、予備校が得意なところなんですね。ただ、予備校は(不当なほど)お金がかかります。検察事務官の方なら、研修教材など、基本的な事項に絞った資料に頼るのがよいでしょう。資料室には、それ以外にも、基本的な法律の教科書が備えてあったりします。そして、時が来たら「本質的な部分を理解」するためのハードな勉強がようやくできるようになるわけです。

  なので、副検事試験を目指すかどうかは別にして、「ちょっと本格的に法律を勉強してみたい」時には、試しに刑法各論から始めることをお勧めします。