問題の提供をいただきました。ちょっと前にいただいたのですが、忙しくてアップが遅くなりました。最後に感想めいたものも書いてみます。
問1 日本国憲法において、自由権以外の基本的人権としてどのような人権が定められているか、種類ごとに分けるとともに、各人権がいずれの条文によって規定されているか明記しつつ述べなさい。
問2 「精神的自由権は、経済的自由権に比べて優越的地位を占めるので、裁判所において、これらを規制する法律の違憲性を審査する際には、経済的自由権の規制立法の場合はより緩やかな基準で足りるが、精神的自由権の規制立法の場合はより厳格な基準によって審査するべきだ」という考え方の趣旨と根拠について、精神的自由権と経済的自由権の意義、両者の性質の違い、民主的政治の過程、裁判所の審査能力に言及しつつ論じなさい。
問3 酒類の販売業を免許制とし、免許の申請者が破産者で復権を得ていない場合など、その経営の基礎が薄弱な場合には免許を与えないことができることを法律で定めることに関する憲法上の問題点について、問2の考え方を踏まえた上で論じなさい。
1時間で書き切る試験でこのボリュームは、ちょっとびっくりですね。
ただ、特に問1の出題の意図としては、特定の分野に限定した出題だと「ヤマが当たった、外れた」という話になりかねず、そうではなく、憲法というもの全体を理解しているかを見よう、ということかな、と思いました。この出題形式だと、論点ごとに勉強して論証を頭に入れる、みたいなやり方では答えづらいですからね。
しかし、最近は、モロに論点が限定された出題をし、しかも判例の知識を前提に答えさせる出題が続いていたのに、一体急にどうかしちゃったのでしょうか。こういう風にコロコロ出題傾向を変えられると、勉強する方としては、とてもやりづらいですよね。
問2、3は、いわゆる二重の基準の論証と当てはめです。問題文は長いのですが、これは、答えてもらうのはこの部分だよ、という誘導でしょう。本来は、自分で構成を考えるべきところを、「ここだけ答えればいいよ」と教えてくれているので、普段の勉強の成果をぶつけるところかな、と思います。ただ、問2については、あらかじめ勉強して準備できるところですが、問3は、当てはめを独立して答えさせようとしています。こういう誘導なしだと、当てはめがすごく薄い答案が結構多いんですよ。そこを、「当てはめもちゃんとやってね」という出題意図かな、と思いました。まあ、詳しいことは、研修誌10月号の解説を待ちましょう。
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