副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

配置困難庁

1 検察庁は、全国各都道府県に地検本庁があるほか、各地に地検支部があります。さらに、区検察庁も各地にあります。法律上は、裁判所に対応して設置することになっているので、地裁がある限りそこには地検が、簡裁がある限りそこには区検があることになります。

  区検の場合は、事務取扱変更庁といって、本庁等でまとめて区検の事務を取り扱うことが比較的容易なようですが、地検支部の事務取扱変更(本庁で一括して事務を取り扱う)は、結構各方面に影響があり、なかなか大変だそうです。具体的には、警察は遠い本庁等まで事件記録を送致したり、身柄を押送したり、という負担があります。地元の弁護士も、刑事事件を担当したら、遠い本庁等まで記録を閲覧に行ったりする手間がかかります。こういう問題について、色々な対処方法を考えながら、事務取扱変更が進んでいきます。

2 しかし、特に本庁からかなり遠い地検支部だと、簡単に事務取扱変更はできません。

  そして、そういう支部の中には、「検察官が副検事1名と、あとは検取」という支部が結構あるのです。北海道最北端の支部とか、四国最西端の支部とかは、本庁から特急で2時間、車で3時間みたいなところだそうです。また、日本海には、昔金が取れた島とか、とても偉い人が島流しにされた島とかに支部がありますね。(島流しの方は事務取扱変更庁になったようです。)こういうところは、やはり副検事にも検察事務官にも、地元の人以外には人気がないですよね。自宅から通えないですし。

  このような支部が、俗に「配置困難庁」と呼ばれているのです。前にも似たようなことを書いた記憶があるのですが、検察事務官の場合、配置困難庁に誰が異動するのか、はかなり重要トピックだそうです。

  副検事の場合、やはり命令である以上、配置困難庁であっても、行けと言われれば、なかなか断れません。ただ、やはりモチベーションが上がらないですよね。何と言っても寂しいですし。

3 そんなこともあって、最近では、副検事1名配置だった支部に、代わりに検事を1名配置する、という扱いが一部でなされているそうです。副検事の処遇改善の一環、ということだと思います。通常、任期は1年のようです。希望すれば、もっと残れるのでしょうが。副検事も全国異動になることもあるわけですから、地元に戻っている時くらい、自宅から通えるところがいいですよね。

  検察に限らず、行政サービスを全国に届けるというのは、結構大変なことだな、と改めて思います。特に地方では、人口が減り事件が減れば、予算や人員が削られるでしょう。そうなると、支部を維持するのは人員的に無理となってしまいます。でも、こういう話って、予算を割り振る人たちはあまり考えてくれないんだろうな。