副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

検察官の業務管理

1 どんな仕事でも、自分の手持ち業務は自分で管理する必要がありますね。

  たまに、業務管理が全然できない人とかいますが。

  そういう人は、そもそも自分がやらなければならない仕事を、忘れてたりします。締切を守るどころではありません。周りで巻き込まれる人は大変ですね。

  ちなみに、検事の場合、「同期の原則」という、何も根拠がないくせに結構威力を発揮する原則があるそうです。その名の通り、ある検事のしくじりを、同期の検事がフォローするのです。フォローというと綺麗に聞こえますが、要するに後始末です。大変です。

  話がそれましたが、検察官の日頃の業務管理の仕方をお話ししましょう。

2 とりあえず、部制庁の刑事部という、捜査専従の立場の場合を考えましょう。

  執務記録というスケジュール帳で予定と業務管理をするやり方があります。執務記録は、〇〇協会という団体に月数百円を支払っていると、年に1冊もらえるものです。(深く聞かないでください。)

  執務記録は、左半分が1週間の予定表、右半分が罫線のメモ欄になっています。

  このメモ欄をいくつかに分けて使います。

3 まずは「身柄」つまり逮捕勾留されている事件ですね。締切も、該当の日付に「10日満期の印」「20日満期の印」を入れます。そして、被疑者の名字、罪名と、特に重要な自分でやるべき捜査(「VPS」「WPS」「見分立会」等)を書きます。Vは被害者、Wは目撃者、PSは検察官調書の略称です。

4 次は、「追起訴」つまり、すでに起訴済の事件の余罪を追起訴する予定です。これの管理は結構重要です。というのは、まだ事件として送致されていないので、パソコン等でデータベースを検索しても、管理できません。一方、追起訴の予定については、「いついつ頃まで」と公判担当に引き継いだり、裁判所に連絡しており、みんなこれをあてにして予定を組んでいます。追起訴が予定に間に合わないと、みんなが困ります。しかし、警察が余罪の追送致を予定通りしてこないこともあります。そんな時、「遅れます」と連絡をくれる警察ばかりではありません。ボーッとしていると、追送致がないまま追起訴期限を経過してしまいます。

5 それから、「在宅」ですね。結構な量の刑事事件が在宅で送致されてきます。中には、かなり手間のかかる事件もあります。そして、検察官としての腕が上がるほど、より難易度の高い在宅事件が選りすぐられて配点されるようになります。

  なお、実際は在宅事件の件数が多いので、重要なものだけを執務記録に記載し、残りはパソコン管理のデータを利用するやりかたもあるようです。

6 そして大事なのが「相談」事件ですね。

  警察が事件送致前に相談をしてきた事件です。なんたって、警察官が送致前に検察官に相談しようと思う事件ですから、問題アリアリに決まっています。中でも厄介な事件、時効完成が近い事件、告訴事件などは、よく面倒を見る必要があるようです。余談ですが、警察官は、検察官のことを良く見ているそうです。そして、腕の良い検察官のところに何とか事件相談を持ち込むために、色んな理由をつけるのだそうです。中には「この間は事件でお世話になりました。ところで、、、、」なんてのもあるそうです。

7 そして、最後が「その他」です。ここに何か記載するものは、色々です。単に、会議や会同で提出する事例を取りまとめる起案とか。トラブル系とか。嫌ですね。

8 これが中小地検の主任立会だと、公判の項目が追加されます。公判は時間軸が長いんで、大変ですよね。とにかく時間がかかる。その分、主任検察官として苦しむ時間も長い訳です。

9 そして、これらのメモを、週が変わる度に、新しいページに書き写します。この書き写す作業は、もちろん面倒くさい作業です。そのため、書き写す内容を少しでも減らそうと、目の前の業務に頑張る、という効果があるのだそうです。