副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

憲法その2

1 憲法の条文は、大きく分けて人権と統治に分かれますね。

  まずは人権の条文について。

2 最初の頃は、人権の部分を勉強していると、ものすごく大事なことを学んでいるような感覚がありましたね。

  実際、人権は大事なのですが。

  ただ、学んでいる内容は、とても基本的なことであるのに、超高度なことを学んでいるかのような気分でした。

  そして、何でもかんでも「人権は大事」「人権侵害は違憲」という考えに流れやすくなっていました。

  もちろん、「公共の福祉とのバランスが大事」とかも学んではいるのですが。

  残念ながら、社会経験がほぼない中で、「公共の福祉」とか言われても、全然イメージが湧いていませんでした。

3 憲法の人権部分を勉強する時には、出来るだけ、該当部分の判例を、しかも

簡単なやつを見るといいですね。それこそ、判例検索なんて今時裁判所のウェブサイトでも出来ますから。

  そうすることで、具体的にどういう事案で、人権の条文が問題とされるのか、対立利益は何なのか、をイメージすることができます。

  試しに「表現の自由」とか入れるだけで、いくつも判例等が出てきますね。いくつかチラ見して、簡単に読めそうな奴を選んでください。くれぐれも、超難しい奴を「絶対読み込んでやる」とかしないでください。

  お金をかけても良い人は、判例百選とか手頃ですね。資料室とか図書室にも普通は置いてあるので、借りればお金かかりません。

4 こうして、人権のイメージがつかめたら、アウトプットのトレーニングです。

  が、ここが困るんですよ。人権の論文問題は、多くは、問題となる人権について、違憲審査基準を明示した上で、事案を当てはめることになります。

  しかし、この意見審査基準というものは、当然ながら条文には書いてないですね。

  実務上は、人権の種類ごとに、最高裁判例等が積み重ねられています。一つ一つは事例判断ですから、いくつもの判例等を検討することによって、最高裁の考え方を読み取ったりすることになります。

  もちろん、最高裁としては、色んな事情を考慮して違憲審査基準を打ち立てているのだと思います。

  しかし、法律の勉強を始めてまだ○年くらいの人間にとっては、「何でそうなるの?」なのですよ。「これがこの人権に関して、最高裁が条文解釈の上で打ち立てた違憲審査基準です。」とか言われても、何をどう解釈したのかも分からないし、唐突に出てきたようにしか見えない。

  なので、勉強するにしても、「最高裁がこう言ってるから」と丸々覚える、というやり方以外に、手がかりが乏しい。しかも、人権の種類ごとに最高裁判例を頭に入れて覚えるとか、私は面倒臭すぎてできませんでした。

  しかも、もしそうやって最高裁判例を頭に入れたとしても、実際にアウトプットとして答案を作成する時に、「何だか理由はよく分からないんですけど、最高裁がこう言ってます。」という素直な認識をそのまま答案に書いても、あまり受けないんですね。要は、点数が伸びない。最高裁判例の言い回しをそのまま覚えて記載できれば、一定の評価はされるのでしょうが、そんなの覚えてられないですよね。

5 そこは、割り切りましょう。

  まず、違憲審査基準については、「二重の基準」で押せるものは、全て押し切る。これなら、一応基準を立てる理由(厳格な基準がいいとか、緩やかな基準でいいとか)が書けますよね。我ながら「ちょっと無理かな」と思うような問題でも、二重の基準を振りかざすのです。

  そして、どうしても二重の基準で押しきれなさそうな人権(うろ覚えですが、生存権とかだったような、、、)だけ、止むを得ず、判例等の基準を頭に入れ、それっぽい理由づけも一緒に覚えておく。

  あとは、答案を書く際には、「本当はよく分かってないんです」という本音は心の中にそっとしまっておいて、自分に書ける部分(人権と公共の福祉の対立点やバランスの取り方等)を、「大きな声ではっきり話すように書く」ように、割り切ります。

  どうせ、大半の受験生はろくなこと書けませんから。そして、今時、「判例知らないと書けない問題」なんて出ませんから。そんなの出したら「知識偏重の悪問」と言われますし(ただ、副検事試験では判例を問う問題、結構出ますよね。)。

6 こうして、割り切るようになると、大分憲法の人権の答案が書けるようになります。

  大丈夫です。どうせ、大半の受験生は分かってないですから。本当に憲法が分かる前に、みんな合格しちゃってるんですから。

  なお、世の中には、大変頭の良い、オゾン層のような高みに居る人が極一部にいます。そういう人は、社会経験がなかろうが、具体的なイメージが湧かなかろうが、人権の本質が分かってしまい、当然のように違憲審査基準を打ち立てることができるのかもしれません。

  本稿は、あくまで、そういうオゾン層な方々以外の人を対象にしています。

  あしからず。