1 憲法という法律は、ものすごく特殊な法律ですね。
その特殊さが本当に分かるには、大分時間がかかります。
特殊さが分かり、割り切れるようになって、ようやく論じることができるようになるものです。
2 割り切り、というのは。
「この法律は、受験生レベルで完璧に論じ切るのは絶対無理」
と悟ることです。
実は、ちょっと考えれば分かるはずなんですよね。
国民の人権を保障する規定とか、国の統治機構を定める規定とかが、あんなちょびっとの条文に詰め込まれているんです。
そりゃあ、解釈の余地が山盛りですよね。
3 しかも、憲法学者達は何人もいて、それぞれ色んなことをいっている。
確立した最高裁の判例はあっても、個別の事例に即した判断がなされていて、統一的な見解が見通せるほどには蓄積されていない。
憲法について、最高裁の判例に基づいて論じるなら、判例を全部頭の中に入れるしかないんです。
そういうやり方をする人もいるのかもしれません。何かを、よくわからないまま覚える、ということが、出来ない人です。あ
そういう人には、この憲法という法律は、完全に理解することを諦めて、割り切って取り組むしかなかったんですね。
4 試験予備校の講義でこんな言葉を言った講師がいました。
「憲法は、最初に分かった気になって、最後まで分からない科目です。」
その通りと思います。