副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

民法その2(その1の修正含む)

1 民法その1を書いてから、副検事試験の民法の過去問を眺めてみました。

  どうやら、私の認識は、平成15年以前頃の出題傾向だったようですね。

  平成16年以降の出題傾向は、随分イメージが違いました。

  今日は、その辺のお話を、「民法その1」の修正も含めて。

2 まず、平成15年以前の出題傾向について。

  結構広い範囲から出ていたんですよね。

  危険負担、債務不履行瑕疵担保責任など。

  また、出題形式も「法律関係を論ぜよ。」「〜について、どのような法律構成が考えられるか。」「〜の救済のために考えられる法的手段、、、」など、民法の総則、物権、債権に関する知識を駆使して分析、検討が必要な形式が結構出ていました。

  大昔ですが、副検事試験民法の過去問について、「何が問題点なのか分からない」と質問を受けて、問題を見たら「第三者弁済をめぐる法律関係」を問う問題だったことがあり、「難しい問題が出るんだなあ」と感心した覚えもありました。

  こういう出題傾向のイメージの下で書いたのが「民法その1」でした。民法の全体像をつかんでいないと、アウトプット困難、というスタンスとも言えます。

3 ところが、平成16年以降の出題傾向を見ると、出題範囲を敢えて基本的な部分に絞っているように見えます。

  具体的には、民法総則(1条から174条まで)と物権総則(175〜179条)という、初歩的部分の占める割合が激増している印象です。8割以上がそこに集中しているようにすら見えました。まあ、民法総則の無権代理の部分は、「無権代理と日常家事代理」「無権代理と相続」という派生論点があり、これは大昔から最近まで大人気出題分野のままですが。

  あとは、他の分野が出るとしても、「即時取得」「賃貸借」「契約解除」「不法行為」など、まあ民法ならそういうのも出るよね、と思えるものくらいでした。難しそうなところでも「保証」が出ると、「お!」と思ったくらいです。

  まあ、考えてみれば、主に刑事事件を扱う法律家の採用試験な訳ですから。全体をマスターするのに膨大な労力を要する(チョロくない)民法について、高度な勉強まで求めてしまうと、肝心な刑事法が相対的に弱くなり、アンバランス、ということなのかな、などと考えてみました。

4 そうと分かれば、前言撤回、軌道修正です。

  民法という科目は、色んな資格試験で出題されます。会計士試験でも、宅建でもありますが、それぞれの資格に必要な分野に勉強対象が絞られています。

  受験者数の多い試験であれば、いわゆる予備校が色々研究してくれて、出題範囲が概ね明らかとなってきます。

  しかし、副検事試験は受験者がそこまで(=予備校が研究してくれるほど)多くないので、この作業を自分でやる必要がありそうですね。そう言うと大変そうに聞こえますが、勉強する分野を絞ることで、勉強しなくて良い範囲が物凄く広くなります。それってとっても楽ですよね。

5 以下は、責任を持つつもりは全くありませんが、例えばの勉強の進め方です。

  ①民法総則と物権総則(1条から179条まで)の勉強を、一通り終えます。

  ②そしたら、過去問を使ったアウトプットの練習を繰り返します。③その中で、新たに出てきた分野(即時取得等)については、別途勉強をします。

  過去問も、平成15年以前のものは、出題傾向も今より難しいので、やらない方が良さそうに見えますね。

  そして、①②③をグルグル繰り返していれば、副検事試験の出題分野を外すことはまずないでしょう。保証はしませんが、たぶん。

  まあ、心配な人は、気休めに他の分野についてもパラパラと解説書をめくっておくくらいでしょうか(と逃げ道を作っておきます)。

6 最近の副検事試験合格者の中で、過去問を中心に勉強したら、短期間で合格した、という方がおられました。「民法とかそんなんで合格するのか?」と思ってましたが、こういう出題傾向なら、可能かもね、と思った次第です。

7 ちなみに、②の過去問を繰り返しやることについては、「同じ問題を繰り返しやって意味あるの?」という疑問があるかもしれません。そういう時は、過去問を見返してください。似た問題のなんと多いことか。繰り返し解けば、その分進歩します。もし、過去問を実際に繰り返し解いた上で「もうこれ以上何回解いても進歩がないから意味がない。」と思えたなら、きっと来年合格します。