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そんなブログ沢山ありそうですが…

民法その3

1 民法の論文答案を書く時の話です。

  イメージ的には、民法はパズルですね。

  「これ、法的に分析できる?」という問題をぶつけられて、答えられるか、という。

2 問題点の抽出の際には、「事実として問題になり得る部分」を考えるというアプローチのほかに、民法全体の構造(総則、物権、債権とか)を頭に浮かべながら「ほかに問題になり得る部分はないか?」と考えるアプローチもあったように記憶しています。

  そして、結構際限なく出てくる問題点を、法的に整理(論理的な検討順序に並べるなど)する、というのが、私の一般的な答案構成でしたね。

  最初の頃は、民法の答案構成はかなり苦労していました。自信がない状態で答案を書くのは辛かったです。

  ただ、民法が分かってくると、問題を見た瞬間に「ああ、これとこれとこの辺を書かせたいのね。あと何か落とし穴ないかな。」みたいな感じで答案構成が始まるようになりました。出題意図が透けて見える感覚というんでしょうか。そういう意味で、民法は、無茶苦茶難しい問題というのは作りづらい科目なのかな、という印象もあります。

3 それから、答案を書き始めます。

  答案を書くコツはただ一つ、「比較衡量」です。要するに「足して2で割る」を繰り返す、バランスを取り続ける、ということです。

  普通の契約関係は、当事者同士が契約に際して、詳細な取り決めをしています。「特約」という奴ですね。そして、何かトラブルが発生したら、この特約によって解決されます。この場合、民法の出番はないですね。

  民法の出番というのは、法律のプロが関与していない契約関係などでトラブルが発生した際(一番悪い奴が逃げちゃって、残った当事者がみんな被害者、とか)など、「特約がない場合」です。こういう場合に「平等な当事者のうち、どっちを勝ちにするか」というルールが民法なのです。当事者同士は、平等な立場にあることが通常なので、どっちか一方に肩入れするのはおかしいですよね。なので、必然的に「比較衡量」「バランス」が重要になってくるのです。「原理原則」「こっちに落ち度がある」「ただ、こっちも過失がある場合には」「いや重大な過失に限って」など、答案作成の時間が許す限りで比較衡量しまくります。

  答案構成さえしっかりできれば、書く内容としてはあまり論理的な内容はないですよね。あったとしても、事実を当てはめながら論じていく感じで。問題点相互の論理的な順序、関係とかも、検討はするものの、わざわざ答案に書いたりした覚えはあまりないですね。ちゃんと正しい順序で並べておけば、それで十分、みたいな。そういう意味でも、民法の勉強は、個別の項目の内容よりは、「民法全体の構造」みたいな部分が大切なように思います。

4 実務としては、トラブった際に民法の規定に頼るようでは、そもそも負け筋なんでしょうね。そんなの契約の時に特約作っとけよ、とかなんだと思います。あくまでイメージですが。

5 民法の答案構成とかは、今の時点ではお見せする自信がないですねー。

  理由は「勉強してないから」。この科目は、本当に地道な勉強によって支えられる科目、と思っています。