副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

副検事試験と他の国家資格試験(コメントへの回答)

1 コメント欄に質問をいただきました。副検事の受験資格を得るまでに、まだかなり期間があるということで、若手の方のようです。

  投稿ペースが遅い(2週に1回)ため、質問から回答まで、いつも時間が空いてしまい、すみません。こんなに投稿ペースが遅いブログを見て下さり、ありがとうございます。

2 質問ごとにお話しします。

  まずは、副検事試験の難易度のレベル感を知りたい、とのことです。例として、行政書士試験を挙げられていました。

  なかなか難しい質問だな、と思います。弁護士の業務が行政書士の業務を全てカバーしているように、大小関係があれば、どちらが大変かははっきりしています。ただ、業務がずれている場合、どちらが難しいか、比較は難しいです。例えば、司法試験と公認会計士試験は、公認会計士試験の方が難しいんじゃないかと思うのですが、違う意見も十分あると思います。

  ただ、行政書士試験は、合格率は10%くらいと低いのですが、法律系の資格の入門と言われています。大学生がヒョイっと受けて合格してくるようなイメージもあります。行政書士試験は、副検事試験どころか、おそらく多くの読者が合格されている国家公務員試験よりも簡単なのではないでしょうか。

  副検事試験は、受験者がほぼ国家公務員に限定されていること、受験母体が小さいこと(例年百数十人)などの特殊事情もあります。一般の国家資格との比較は、難しいです。

  一つ、目安があるとすれば、検察事務官の一斉考試です。毎年2月に実施される、マルバツ式のテストです。検察事務官出身の副検事の場合、結構多くの方が、若手の頃に一斉考試で「検事長表彰」以上の成績を取得されています。もちろん、表彰歴のない方でも合格していますし、表彰歴は受験や合格の条件ではありません。ただ、若手の方が目安にできるとすれば、この「一斉考試で検事長表彰以上」かなと思います。何点で検事長表彰というのは、担当の企画調査課の人は何となく知っているものですし、研修誌に掲載されていたかもしれません。一斉考試の過去問は、検察事務官なら色々入手の方法があります。他官庁の方は、検察事務官に知り合いを作って何とかしましょう。

3 次に、「何か法律系の資格で勉強しておくと、(副検事試験が)楽になるものはあるか」という質問です。

  若手の方なので、受験資格を取得するまでの期間を有効に使いたい、ということと思います。確かに、副検事試験を目指すとは言っても、受験資格がないうちから、ずっと勉強を続けるのは大変でしょう。人間、そんなに頑張り続けられるものではありません。そういう意味で、中間的な目標として法律系の資格取得を目指すのは、ありかな、と思います。手頃なところでは、行政書士か宅地建物取引士でしょうか。宅建士は選択問題だけなので、とても取り組みやすいと思います。

  ただ、いくつか注意点があります。「楽になる」度合いは、「少し聞いたことがある分、馴染みを感じる」くらいかな、と思われます。自分でやったことはないので、想像ですが。やはり資格試験は、「その資格に必要な知識、理解」が問われるので、例えば同じ民法でも、試験によって問われ方に偏りがあるからです。副検事試験の民法は、宅建行政書士民法の延長線上ではない、というイメージでしょうか。

  なお、行政書士宅建士も、副検事試験の科目ではない行政法宅建業法、借地借家法不動産登記法などの分野からの出題もあります。これはまあ、若い方なら、そういう寄り道も良いかな、と思いますが。逆に、刑法、刑事訴訟法は出ません。民間の資格ですから、刑事法の出番はないんですね。

  考えられるメリットは、民法のいろんな分野をかじることができる点かな、と思います。民法というのは、総則、物権、債権等について、様々な規定や制度が組み合わさってできています。理想を言えば、その全体の構造が頭に入っているのが良いのです。そして、そのためには、「まずは極簡単なことについて、民法全体を知る」のが有効です。各制度や規定について、断片的でも「ああ、そんな話があったな」と思えると、全体を知る際のスピードアップにつながるかな、と思うのです。全体を知る時は、スピードを上げないと「最初の方のことを忘れてしまう」ように思います。これが、全体をつかむ上で、結構なハードルになるのです。

4 コメント主の方が検察事務官の方なら、宅建士や行政書士の勉強は、普段の業務と関わりの薄い法律の勉強になります。これらの勉強と並行して、一斉考試の勉強をする、というやり方もあるように思います。一斉考試で物足りなくなったら、その先は、司法試験予備試験短答式試験の勉強でしょうか。これなら、副検事試験とある程度親和性があるように思います。そして、どこかの時点で、副検事試験に照準を合わせた勉強を始めることになるでしょう。