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そんなブログ沢山ありそうですが…

民法その5(令和3年答え合わせ)

1 今回は、民法その4でやった答案構成について、「研修」誌の「設問の題意及び答案の傾向等」を手がかりに答え合わせをしてみます。

  自分としては、20数年ぶりの割には、普通に書けたかな、と思ったのですが、さてどうでしょう。

2 なんか、他の科目に比べて、民法は解説が短めですね。

  第1問①は、まず、無権代理から入るところは、良いようです。まあ、これがダメだったら、ちょっとブログ続ける資格ないですね。

  おっと、次にいきなり日常家事代理が来ました。私の答案構成では、先に表見代理を検討しているのですが。これは、日常家事代理が法定代理であることから、理論的に、表見代理よりも検討順序が先になる、ということのようです。ふーん、日常家事代理が法定代理だなんて、あんまり意識したことなかったです。言われりゃそうかもね、です。

  どうやら、出題者としては、日常家事代理を先に検討した上で表見代理を検討し、更に「日常家事代理という法定代理権に基づいた表見代理の成立の可否」という点を論じて欲しかったようですね。そんなことが論点になるなんて、初めて聞きました。昔聞いたことあったのかも知れませんが、全く記憶に残ってません。日常家事代理からこれを基本代理権とする110条の表見代理の検討を出題者は「基本的な流れ」と呼んでいますが、「的確に論証できている受験生は多くなかった」そうです。これができなかったから即不合格、ではないようですね。

3 第1問②は、無権代理人の責任追及の際、無権代理人から「表見代理が成立するんだから、本人に履行を請求できるだろ。俺は無権代理人の責任を負わない。」という主張ができるか、という点を論じて欲しかったようです。そんな論点、ありましたかねえ。全然覚えてない。まあ、この点も「適切に論じている答案は、少数であった」そうです。大多数は相手Cの悪意有過失を論じるにとどまったそうで。みんなできてないなら、まあいいや、と思えますね。

4 第2問は、無権代理と相続についてですが、「地位融合説」と「地位併存説」という学説の対立を意識して、それぞれの論拠に触れつつ論じて欲しかったようです。ご期待に沿えず、すみませんでした。自分の答案構成を読み返してみると、「地位併存説」を当然の前提として書いてますね。ただ、振り返れば、相続して権利義務が同一人に帰属したのだから、「当然に履行の義務を負うようにも思われる」という形で書き始めることもできたと思います。その後、当然履行ではなく、本人と無権代理人の立場を併せ持つ状態と見るべき、と導く。これなら、出題意図にある程度沿った答案が書けたでしょう。残念。

  そして、無権代理人が本人を相続した場合には、信義則上追認拒絶を認めない、という点は、出題意図であり、逆の相続との違いも含めて、多くの受験生が言及できていたそうです。てことは、ここは書き落としたら大失点、書けてもそれほど差がつかない、ということになりますね。

5 総括として、「基本的な論点で、論点自体に気づいているものの、知識が中途半端なためか、問題提起を正確にできていない答案が目立った」そうです。問題提起、重要ですね。こういう典型的な問題ほど、問題提起の部分で差がつくと思います。内容はみんななんとなくは分かっているので、差がつきづらいんですね。

6 自分の答案構成を見るに、出題意図を外した部分もそれなりにあったものの、そこができた受験生は多くはなかったようで、大怪我には至りませんでした。合格答案と評価されるかのボーダーライン近くまでは行けたと思います。甘いかな?