1 コメントに、この4月に副検事任官予定の方から、検察官の引越し事情に関するご質問がありました。
合格おめでとうございます。前回残念だった方々も、すでに心の傷は癒え、次の目標に向かっておられる時期でしょう。是非、「次は自分が!」というモチベーションにしてほしいと思います。
2 まずは、コメ主の方からの質問に順番に答える形で進めましょう。
見積もり、家電製品の取り付け取り外し費用まで出してもらえるのか、という観点からの質問がありました。この辺は、検察官の引越しであっても、財務省のルール通りになります。最近、よくルールが変わるので、引越しに向けて配布される資料をよく読んでください。
官舎の設備、家賃、古さ等についてですが、設備と古さは、本当に場所によってまちまちです。比較的年数の浅いものから、自分よりはるかに年上の官舎まで、幅広いです。異動先の目星が付いたら、情報収集をして自分がどこの官舎に入りそうか、調べるといいです。地検によっては、異動先の国有財産係の方が早めに連絡に応じてくれて、前年度の資料を参考に提供してくれることもあります。家賃ですが、やはり官舎は財務省管理のところが大半なので、金額の決め方も似ています。ただ、検察官は、一応公務員としては身分が高めなため、1人で住む場合であっても、「最低◯規格以上の部屋に入らないといけない」みたいな決まりがあるようです。そのため、1人なのに広い部屋を借りなければならず、その分家賃もお高め、ということはあります。
異動日ですが、最近は、辞令が電子交付になったため、発令の日に登庁して辞令を受け取る必要はないみたいです。また、検察官の場合、異動先への着任日は、自分で指定します。発令日から着任日までの間は、「異動に要する期間」ということで、出勤はしないのですが、異動に必要な業務に従事している、という扱いになります。なので、間違っても観光とか遊びに行ってはいけません。
3 直接の回答は以上になります。以下は、若干敷衍した話を。
先ほど、官舎の情報をなるべく早く入手することを話しました。その結果、官舎について「無茶苦茶古い」「役所までかなり遠い」「周りに買い物ができるところ等がなくて不便」などの事情が判明したとしましょう。この場合、選択肢として、「民間の賃貸住宅を借りる」ということもできます。検察官も、指定職(副検事は2号俸以上)でなければ、住宅手当が支給されます。今(2025年)は家賃の半額まで、27000円が上限だったでしょうか。これに官舎の家賃分プラスアルファ(ここは自腹です)を支出することで、官舎に入らないという選択もできるわけです。検事の場合は、若手検事や女性検事は、何となく民間の賃貸に入る人が多いようです。
もちろん民間の賃貸を借りるためには、事前に現地に行って、どこを借りるか決めないといけません。また、敷金礼金等がかかることもあります。しかし、それでも検事の場合は、民間に入る人が結構な割合でいます。
さらに、「一旦官舎に入ったけど、環境が悪いので、短期間で官舎を引き払い、民間賃貸に引っ越す」ということも、一応可能です。この場合、官舎から民間賃貸への引越し代は自腹になりますが。
聞いた話ですが、「官舎に着いた瞬間に『これは無理だ』と思い、2週間で官舎を退去し民間賃貸に移ったケース」「入居した官舎の部屋が、前に数年間誰も住んでいない部屋で、お風呂を全自動で沸かそうとしたら黒いお湯が出てきたのを見て配偶者の心が折れ、1か月で官舎を退去し、民間賃貸に引っ越したケース」など、なかなか厳しい官舎もあるようです。
4 また、特に単身の場合には、家電製品について「買うかレンタルか」問題があります。冷蔵庫、洗濯機、電子レンジくらいは、どうしても生活には必要です。人によっては、これにテレビも加わります。これらを自前で所有し、引っ越す時には、当然ながら引越し業者にはトラックを手配してもらう必要があります。4月の定期異動時期は、引越し代が爆上がりし、空いている業者を手配するのも一苦労です。最近は、支出した分を全額払ってもらえるようになりましたが、それでも、相見積もりが必要なのに、業者が見積もりに来てくれない、等の悩みもあるようです。また、家電製品の取り付けについては、業者を使うか、自分でやる必要があります。検察官は引越しに慣れてくると、これらの家電製品の取り付けくらいは自分でできるようになるみたいです。
一方、家電製品をレンタルにすると、引越しの際の荷物が格段に減ります。荷物量によりますが、単身パックが引越し手段の選択肢に入ってきます。単身パックだと、見積もりの代わりに「ネット上で概算した金額」が認められます。また、レンタル業者が家電製品を持ってきて、取り付けまでやってくれます。さらに、契約期間が終われば、持っていってくれるので、特に単身赴任の場合は、「次の異動まで自宅に保管」という必要が無くなります。また、異動の度に中古ではあってもちゃんと綺麗な状態で使い始められます。リサイクル法による手間のかかる廃棄手続きの必要もありません。もちろん、デメリットもあり、レンタル料金は、買うのと2年のレンタルで大して値段が変わらないこと、いつまでも自分のものにはならないので、料金を支払い続ける必要があること、などです。また、トラックによる引越しでも全額出してもらえるようになり、単身パックの有利さはその分少なくなったかな、とも思います。
5 さらに、家電製品については、「前の人が置いていってくれる」場合もあります。
原則は、官舎の場合は荷物は全て撤去し、現状回復です。ただ、転居者と入居者が合意した場合に限って、一部の家電製品等を引き継ぐことができます。もちろん、入居者は、撤去の義務を負います。単身赴任の場合、エアコンを引き継いでもらえると、とても嬉しいですね。ない部屋だと自分でつけなければなりません。また、代々単身赴任者が使っている部屋は、家電製品が全部揃った状態で引き継がれていることもあります。ただ、たまに後に入居する人が家電製品を持ち歩いている人が当たると、「全部持っていってください」と言われることもあるのです。こうなったら、全部処分するか、誰かに引き取ってもらうかしないといけませんね。ただ、そういう家電製品は、なんとなく「子供が大学で1人暮らしを始めるので」「そろそろ実家を出て1人暮らしをしようかと思っているんですが」みたいな職員が検察庁にはいるので、そういう人に引き取ってもらえることが多いです。