1 女性の任官希望の方から質問をいただきました。家庭を持つことと、副検事試験受験のタイミングについて、考えるところがおありのようです。そもそも女性の副検事が少ないですから、情報を得ようにも実例が少なすぎるのかもしれません。
2 女性副検事の実例が少ないので、想像で話を進めさせていただきます。すみません。
まず、女性が副検事任官を考える場合、何がハードルになるのかを考えてみます。
結婚されてご家庭がおありの場合は、副検事として全国転勤に対応できるのか、という部分がまずあると思います。また、お子さんを持たれるなら、産休、育休やその後の子育てと仕事の両立も気になる所と思います。あとは何がありますかね。ちょっと思いつきません。もし気になる点があったら、どなたかコメント願います。
3 ざっくりとした話になりますが、現在のご時世にもれず、検察庁でも、女性に活躍してもらおうという動きが盛んです。かつて(30年以上前)は、検察庁に入った女性事務官は、「鉛筆を数えるのが仕事」と言われたそうです。ひどい話ですね。しかし、今では、検察事務官の中でも女性の事務局長がおられます。また、検察官についても、検事総長や検事長に女性が複数なられています。もちろん、いまだに不十分なところはかなりあります。ただ、「これまで男性しかいなかったポストに女性にもついてもらいたい」という動きは本当だと思います。
ですから、女性が副検事となった際に、「全国異動できないような奴が副検事になるな」とか「産休、育休で長期間仕事ができない奴が副検事になるな」みたいなことは、間違っても、口が裂けても言えない、と思います。そんなことが局地的にでもあれば、副検事を希望する女性検察事務官などいなくなるでしょう。それは、検察庁として、大変困る事態です。そんな事態を引き起こした人間は、その人自身が厳しく粛清されること間違いないと思います。
なので、女性が副検事に任官した際は、基本的には「家庭の事情は最大限配慮してもらえる」だろうな、と思います。
4 一応、個別に考えてみましょう。まずは全国異動についてです。こちらは、かつては「初任地は地元から遠いところ」という不文律みたいなものがありました。しかし、近年は、男性女性を問わず、家庭の事情を配慮して初任地を地元にする、などの配慮がなされるようになったようです。ただ、最初から永遠に地元にいられるか、というと、そこは難しいかもしれません。というのは、誰しもみんな地元に帰りたいのであって、地元出身の副検事が、地元地検の定員よりも多い場合は、誰かが地元以外に転勤しなければならないからです。また、副検事としての力量を上げるためには「大きくて業務がハードな地検に行って鍛えられる」機会がどうしても必要になるからです。鉄は鍛えられて立派な刀になります。人も同じように、鍛えられて高い能力を身につけられるのです。そういう意味で、いつかは地元を離れて遠くで勤務する覚悟は必要だろうな、と思います。その際は、単身赴任になるのか、家族ごと異動するのか、考え所になります。検事の場合ですが、男女とも全国異動するパターンとしては、「ご主人がリモート勤務がメインで、一緒に異動する」「奥さんが医者、看護師で、異動先で新たな勤務先を探してくれる」「単身赴任だが、自宅でどちらかの親と同居して、子供の面倒を非ワンオペで見ている」「家族ごと引越し、どちらかが新幹線通勤をする」などがあります。現実的には、親と同居が一番実現可能性が高く、かつ安定感があるように感じています。そして、女性ならば、できれば、「自分の親と同居するよう配偶者を説得する」のが理想的かなと思います。
5 次に産休、育休についてです。これは、全く心配する必要はないと思います。というのは、すでに女性検事がそのような働き方をしているからです。そもそも「任官した時点で妊娠している」女性検事も複数いました。また、今は、男性職員に対してさえ、育児休暇の取得を役所から進めてくる時代です。これも女性検事の例ですが、1人目のお子さんを出産し、育児休暇が終わる頃に2人目を出産され、4、5年育児休暇を取得するケースもあったようです。この部分について、検察事務官であれ検察官であれ、女性に負担をかけたり、女性を不利に扱うようなことは、今の時代は極めてタブーだと思います。
6 以上から、女性であるから、と言って、副検事試験のタイミングを測ったりする必要はないように思います。そして、今の時代は、夫婦共働きが当然です。女性に限らず、男性の方も、結婚する相手と自分が共働きをできるのか、お互いの事情をぶつけ合い、噛み合わせられる相手と結婚することが不可欠なのだろうと思います。
最後に、女性が働くことに対する理解度が高い男性の探し方について。人は、自分の置かれた環境から物事を学びます。「自分の母親がフルタイムで働いていた男性」は、女性がフルタイムで働くことについての理解度が高いのではないか、と思っています。