副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

副検事になる方の前職

1 副検事になる方は、多くが元々は検察事務官です。検察庁に事務官として任官し、検察庁の仕事をしながら、副検事試験を受験されます。大半が立会事務官と呼ばれる、検察官(検事、副検事の総称)のパートナーの経験を有し、さらに検察官事務取扱検察事務官(検取と略されます)として、実際の捜査を単独で行う経験も有しています。そのような中で、検察官の業務内容を熟知し、自分の適性や興味の有無を自ら確認した上で、副検事を目指すか否かを考えておられると思います。

2 副検事を目指すか否かに関して、大きく影響するのが、副検事に任官すると全国異動がある点です。検察事務官の場合でも広域異動はありますが、概ね高等検察庁単位(全国に8か所あります。)の中での異動でおさまります。それが、副検事になると全国異動です。大きな違いですね。中には能力、適性ともバッチリだけど、ご家族の意向で副検事を目指さない、という方もおられます。ただ、最近は、本人のライフイベントに合わせて、希望する一定期間は地元に配置してくれる、というような配慮がなされるようになってきたようです。

  とはいえ、地元出身の副検事が多い検察庁は、そもそも副検事のポストが足りず、常時誰かが他の検察庁に行かなければならない、ということもあるようです。一方で、地元出身の副検事は沢山いるのに、あまりに業務量が多いため、みんな地元に帰ってきてくれず、地元にいてくれる副検事が足りない、なんて検察庁もあったりします。

3 一方、副検事試験の受験資格は、結構広く、検察庁以外の役所の方もかなりおられます。特に、裁判所書記官から副検事になる方は、かなり良く見ます。刑事事件を取り扱う訳だし、書記官は法律の勉強が必要な仕事なので、馴染みがあるんでしょうね。ただ、ほかにも、刑務官(刑務所等の看守の方など)、公安調査庁職員、法務局(登記とかする所です。)職員、出入国管理局(今は庁になりました。)職員、自衛官海上保安官が前職の方がおられます。

  これらの方も、何らかの形で検察庁法務省(検察庁の上位組織という位置づけです。)に接点があることから、受験資格があるようです。ただ、検察事務官に比べると、副検事の業務内容について、詳しく知る機会は乏しいだろうな、と思います。おそらく、それぞれツテを頼って情報を集めたりされていると思うのですが。それにしても、試験を受験した上での他省庁への転職は、色々考えるでしょうし、勇気も要りますよね。大変だと思います。

  あと、他省庁の方は、副検事試験を受験することが勤務先に知られてしまうようで、「転職しようとしている」ことを内緒にはできないようです。なので、「受験して不合格だと、その後が針のムシロなので、必死に勉強して一発合格を目指す。受験すること自体もギリギリまで内緒にして、ひっそりと勉強を進める。」と聞いたことがあります。全ての他省庁がそうではないと思いますが、大変です。

4 あと、実は警察官にも受験資格があります。もっとも、「警部以上」と、条件は厳しいのですが。ただ、実際に前職が警察官の副検事の方は、見たことがありません。どうやら、毎年数人は受験しているようなのですが。

  そして、警察では、副検事試験の受験資格がある、ということは、あまり知られていないようです。1つは、昇任試験を受けて巡査部長、警部補、警部となるのが、そもそも

簡単ではないので、警部になってから転職しよう、という人はレアなのかもしれません。昔聞いた話では、副検事は定年が63歳なので、警察官を定年退職した後の再就職に副検事になったりするケースがあったとか聞いたことがあります。ただ、それよりも、警察では、「大事な人材を持っていかれたくない」という思いから、敢えて周知してないのではないか?と思っています。若いと30歳代で警部になる方もいますが、ものすごく優秀な人材です。そんな人材を他所にとられたら、たまらないですからね。

5 余談ですが、検察事務官の場合、概ね33歳の時に副検事試験の受験資格を得るのが、最速のパターンのようです。

  ところが、自衛官の場合は、三尉(いわゆる少尉)以上の階級が条件です。防衛大学校を出て自衛官に任官すると、最初に三尉になるので、20歳代前半で条件を満たしてしまいます。ただ、自衛官のうち、「警務官」という業務についていないといけないので、詳しくは知らないのですが、これによって、ある程度受験資格を得るまでに時間がかかるようになっているのかな、と思います。