副検事になるための法律講座

そんなブログ沢山ありそうですが…

法律家の力

1 副検事は法律家です。法曹三者の一つである検察官です。では法律家、法曹の力とは何でしょうか。

  これが誰も教えてくれなかったんですね。早く言えよ、と本当に思いました。

  法律家として大事な力が何なのかが分かれば、それを身につけるために勉強すれば良いのですから、勉強の仕方も分かるはずですよね。

  実務についている法曹のほとんどの人は、多分これが分かっています。少なくとも経験的、直感的には。

2 法律家の力とは、「問題点抽出能力」です。

  副検事の場合は、刑事事件が一番身近ですから、刑事事件について話しましょう。

  実務では、はい身柄事件の配点です、と事件記録がやってきます。

  これを見て、「何が問題になるのか。」を、すぐ(できれば配点されたその日のうちに)抽出し切ることができるのが、法律家としての力です。

  もちろん、将来検事に任官したら、問題点抽出だけで何日もかかるような事件が配点されたりしますが。

  しかし、簡単なものから物凄く難しいものまで、どれであっても、問題点抽出が課題であることは、変わりがありません。

  具体的には、事件性、犯人性、客観的構成要件該当性、主観的構成要件該当性、違法性、責任、共犯性、その他について、「何が問題になるのか」が抽出できるか、ということなのです。

  これができれば、何を補充捜査すべきかが分かり、警察にお願いすることができますね。

  逆に、これができないと、運が良ければ、決裁の際に決裁官が気付いてくれて、どうしたらいいか注意してくれたり、ちょっと厳しめに指導してくれたりします。

  運が悪いと、決裁官も気付いてくれず、公判になって弁護人から問題点を指摘され、処分時の想定が大きく崩れたりします。

  そんな公判を握るのは、本当に辛いですね。

3 問題点抽出能力が大事なのは、多分民事も一緒だと思います。結局、法曹の仕事は、トラブった時に相手と対立する、ということです。

  そして、対立した時の準備として、相手がなんと言ってくるかを想定するのは、当たり前ですよね。

  これが問題点抽出ということだと私は思っています。

  問題点抽出とは、言い換えれば「自分が相手だったらなんと主張するか。」ということだと思います。

  刑事事件だったら、「自分が被疑者被告人の弁護人だったら、この事件について何を主張して弁護するか。」ということです。

  犯則通告対象の軽微事案から超凶悪事件まで、問題点抽出のコツは、これに尽きると思っています。